皆さんの中にも、ご自身あるいはご家族やお知り合いが、階段で転倒してけがをされたという方が数多くいらっしゃると思います。実は階段は、年間1000人前後もの方が亡くなっているのです。(旧厚生省人口動態統計による)
また国民消費者生活センターのデータ−では、階段で負傷する人の数は年間1万人以上ともいわれ、中には半身不随にいたるような大事故も多々あるのです。
交通事故と違い、階段で転倒して死傷しても、家庭内事故ですからまず表に出ることはないのです。ですから先程の「1000人」とか「1万人」の数字も、実際にはもっともっと大きな数であることが推測されています。これほど多くの人が階段で亡くなったり、負傷されたりしているわけで、まさに「階段は地獄の一丁目」といえるでしょう。
昔から家の中央にある階段は「凶」といわれます。家の中央部に、階段があることで「癌なるとか、病気になる」などという脅し文句は迷信です。しかし、家の中央部は暗い場所、光が届きにくい場所ですから、暗いことで転倒事故がおきやすい科学的な側面を先人はわれわれに教えています。
家の中央は外壁に面さない場所であるため、窓がなく暗い場所です。ここに階段があれば、当然暗い環境になります。「だったら照明を点ければいいじゃない」と思われるでしょうが、夕暮れ時で照明をつけようか迷うような時や、急いでいて照明を点け忘れて降りるような時に偶然、事故が起きてしまうこともあるでしょう。また、トップライトを取り付けても、積雪時に効果はありません。そんなときに事故を誘発してしまします。
階段の構造も配慮が必要です。直行階段は、転倒すると階下まで一気に落ちやすく、また上曲がり階段は、上曲がりの部分で足を踏み外しやすいうえに、こちらも階下まで転落しやすいという危険性があります。構造的には、階段の途中で踊り場ができるような「Uの字型」や「L型」の階段が比較的安全なのです。
家づくりの際には、できる限り自然の光が入るような場所に、できる限りゆるやかで安全な階段を設計することが「吉」です。その上で、足元が暗くならないような位置に照明器具を取り付けること、センサー付きの照明器具で急いだ時も自動的に明るさを確保できるような工夫、真冬でも冷たさを感じない木製の手すりや滑り止めの取り付け、階段専用のフットライトなど、安全対策にはお金を惜しまないことです。そして何より大切なのは、階段は危険な場所であると認識して、普段から注意して昇り降りする気持ちこそが大切です。
あなたの家の階段が「地獄の一丁目」にならないためにも。
|