屋根で運勢は変わる |
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| 家づくりをする際に、意外に蔑ろ(ないがしろ)にされているのが屋根の形です。間取りの決定に時間がかかり、屋根の形には十分な打ち合わせができなかったり、設計者やメーカーに自然に決められているケースも多いようです。また、瓦のデザインや色にはこだわるものの、屋根の形そのものには案外無関心な人も少なくありません。確かに、間取りが決まれば屋根の形もアウトラインは決まってくるものですが、屋根も家の重要なパーツです。できれば屋根の形にも、もっとこだわってほしいと私は思います。なぜなら、屋根の形で雨の流れる方向が決まるように、様々な運勢の方向も決まってくるからです。 家相の古書にはこんな一節があります。「宅の前後棟低くして中高なるは、財の耗事(へること)を主る(つかさどる)。またこれ孤独の相なり」。「宅の前後棟低くして中高なる」とは、屋根のことをいっています。つまり、「屋根の前後が低く真ん中が高いのは、財産が減り、孤独に悩む凶相」といっているのです。でも屋根といえば、普通は真ん中が高くて両側が低いものですよね。これはどういう意味かというと、下のCGのように、人の出入りする玄関側から見た様子をいっているのです。 ![]() 昔は雨樋(あまどい)がない家が多かったため、このように玄関側に屋根の軒(のき)が下がっていると、雨が降る日は出入りのたびに、屋根から滴る雨でずぶ濡れになってしまいます。そこで、このような屋根の向きを凶としたのです。特に商店などでは、雨に濡れるのを嫌って人の出入りが少なくなりますし、軒下に並べた商品も雨で傷みやすくなります。そんなところから、「財が減る」などといわれたのでしょう。また、屋根から落ちる雨で地面に溝が掘られてしまうのも「凶」の一因。玄関前に溝があれば、特に夜などは転びやすく危険です。こんなことからも人が寄りつきにくくなり、それで「孤独の相」ともいわれたのかもしれませんね。 財産が減るとか、孤独であるとかは別として、このような屋根を凶としたことは、建築学的な観点から見ても理にかなうことです。雨が降るたびにずぶ濡れになったり、家の前に溝ができたりしては、よい住まいとはいえませんからね。現代では雨樋が発達し、雨によるこれらの凶事は心配なくなりました。しかし、屋根の形が吉凶を左右するケースは、現代でも依然として少なくありません。特に雪が多く降る地域では、屋根の形が家づくりの重要なポイントとなります。 下の写真をご覧ください。これは皆さんもご存知の、世界遺産の飛騨白川合掌村の家屋です。この合掌造りの建物は、何といっても屋根に特徴があります。屋根裏を利用して蚕を飼育していたことも、その屋根形状の所以のひとつですが、その土地の環境や生活していくうえでの利点も、この屋根の形にはきちんと考慮されているのです。飛騨白川といえば雪の多い地域。合掌造りのこの屋根は、玄関や道路側に雪が落ちないように、また、雪下ろしの手間がないように、その向きや角度が計算されているのです。 ![]() 雪が多く降る地域では、屋根に積もる雪の量も半端ではありません。雪下ろしをしなくても、自然に雪が落下していきます。もしその雪が、人が出入りする玄関側や、人が行き来する道路側に落ちてきたら、命にかかわる危険なことにもなりかねません。昨年、札幌ドームの屋根から雪の塊が落ちてきて、駐車場の車のフロントガラスが割れてしまう事故もありました。雪は雨のように樋で受けられるものではなく、場合によっては人の運勢をも変えてしまう大事にもなりかねないのです。 ですから、雪の多い地域では、屋根に雪止めの施工をしたり、自然落下する雪が人を傷つけないよう、屋根の向きや角度を考慮することが大切なのです。雪に限らず、火山灰が降る地域も同じです。雪や火山灰を屋根から下ろす際、屋根から落ちてけがをされる人も、毎年少なくありません。屋根の形状で、危険度も大きく変わってしまうのです。このような地域では、地域環境を熟知した設計者、地元での建築経験が豊富なメーカーを選ばれるとよいでしょう。 ![]() また、さほど雪が多くない地域でも、安全と事故防止のため、屋根に雪止めをつけておくことをおすすめします。予想外の雪が降り、屋根から落ちた雪がカーポートを直撃したり、雪の重みで外れた樋が、隣の家の窓ガラスを割ってしまったりと、“無防備”なだけに、これまた予想外の災難に遭ってしまうこともあるのです。雪だけではありません。住宅が密集する地域では、屋根の“越境”や日照権の問題など、屋根が原因の近隣トラブルも多いのです。 もちろん、家の住み心地にも、屋根の形状が大きく影響します。たとえば軒の出は、雨や風で外壁が傷むのを防いだり、夏の日差しを遮ってくれたりします。建築法規上様々な制限がありますが、それらをクリアできれば、軒を長く出すことは住まいによい効果も生んでくれるのです。また、緩やかな角度の屋根や水平な陸屋根(ろくやね)は、雨が流れにくく、工法によっては雨漏りの危険性が高くなったり、屋根裏の空間が少ないため、断熱の施工が十分でないと夏の室内温度にも大きく影響します。その他、入り組んだ形の屋根は、その複雑な形ゆえ雨漏りがしやすく、メンテナンスに費用がかかる場合が多いようです ![]() こうして考えると、屋根の形も住まいの吉凶に大きく関係していることがわかります。安全な家づくり、住みやすい家づくりのためにも、屋根の形には十分考慮していただきたいのです。 風の強さや向きを知るため屋根に飾った風見鶏。屋根はさしずめ、その家に住む人の人生の風見鶏といえるでしょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー かざみどり【風見鶏】 鶏にかたどった風見。風の強さや方向を見るために、船や屋根の上に取り付ける器具。 屋根形状 寄棟、切妻、入母屋、差し掛け、腰折れ屋根、片流れ、大屋根、陸屋根、越し屋根、招き屋根、方形など様々な形がある。 |
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2005 家相研究家 小池康壽
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