家相を勘違いして取り入れるな!!

下記の図面をご覧ください。このプランは、大手住宅メーカーの営業担当と設計士が、お施主さんに現実に提案したプラン案です。



営業担当も設計士も、「家相は重要です。家づくりの際に多くのお施主様が気になさるので、私たちも一通りは勉強しました」と言ったそうです。そして、鬼門を気にする施主に対して、プロである彼らも「鬼門は恐ろしい場所、最低限でもトイレだけは、鬼門からはずしたほうがよいですね」と、下記の原案の図面を最終的に上記のように変更したのです。

このケースのように、施主だけでなく業者側も鬼門を異常に気にする傾向を、私はいつも肌で感じています。

このプランは、和室やリビングはどうしてもこの配置を動かしたくないという希望で、トイレを洗面所内に配置したとのこと。これならトイレも鬼門から外れ、なおかつ間取りも希望どおりになるので、このプランに落ち着いたそうです。住宅メーカーの紹介で、家相を見る占い師のところにも図面を持っていき、「家相も良し」と御墨付きも得たそうです。当初の図面のままだと3年以内に主人が癌になるが、今回の変更案であれば問題ないと太鼓判を押されたということでした。



しかし、契約が近づくにつれ、本当にこの住まいで進めてよいのかどうか疑問を持ち、私のところへおみえになりました。

私は、これこそ家相を大いに勘違いした間取りだとお話ししました。確かに、鬼門という方位にトイレはなくなりましたが、浴室につながる洗面所の中にトイレを配置することは、迷信に過ぎない災いなんかではなく、「住みにくさ」という現実の災いを招いてしまうことになるのです。

まず第一に、このような位置にトイレがあると、浴室の湿気の影響をトイレが大きく受けてしまいます。トイレ自体も湿気の発生しやすい場所ですから、カビや雑菌が繁殖する心配も少なくありません。健康的に暮らせることが、家相のよい住まいの一番の条件ですが、鬼門を外して逆に、それから遠ざかってしまっているのです。



また、お子さんはとお尋ねすると女の子とのこと。年頃になれば、父親がお風呂に入っているときはトイレに行きづらくなりますし、逆に娘さんが入浴する際は、洗面所の鍵は間違いなくロックされてしまいます。娘さんがお風呂から出るまでは、トイレも使えなくなってしまいますよね。このプランを提案されたときは、ホテルのように合理的だと満足していた奥さんも、自分が娘ならやっぱり使いづらいと気づかれたようでした。

鬼門という方位にとらわれてしまい、ただ水回りの位置だけにこだわれば、「住みやすさ」という住まいの本質からはどんどん離れていってしまいます。家をつくる際は、まず鬼門の持つ方位の特性を理解してほしいと私は願います。鬼門は住まいの中では寒い場所、うす暗い場所になりやすく、湿気も乾きにくい場所です。鬼がいる場所でも、悪魔が棲む場所でもない、太陽が当たりにくい鬼門という場所の特性を、まずは理解してほしいのです。

もうひとつ、この図面が間違った家相を取り入れているのが東南の玄関です。この住まいは北側に道路があるのですが、東南の玄関は子供が出世するからと、無理やり北側から細い通路を通り、東南に玄関を設計していたのです。

以前にもお話ししたように、東南に玄関をつくれば子供が出世するなどということは迷信に過ぎません。道路からわざわざ狭い通路を通り玄関に入るのでは、住まいとしても無理があるでしょうし、防犯上も、来客を装えば侵入しやすいという点は否めません。



「鬼門に水回りをつくると癌になる、東南に玄関があると出世する」などという家相の迷信部分を単純に取り入れてしまった、まさに大凶の図面でしょう。

いつもお話をしていますが、家相とは厄介なものです。先人の知恵ですから、すべて否定する必要はありませんが、すべてを闇雲に取り入れることは避けていただきたいのです。「住みにくさ」という災いが、間違いなく訪れることになりますから。

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次回は、なぜこのようなことを住宅に携わるプロが行なってしまうのか、その理由をお話しいたしましょう。

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