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「雪隠(せっちん)門口と向うは、常にようちょうを煩う」。また「門口に厠向かうわ、腫物の患いある相とす。」ちょっと聞き慣れない言葉ですが、この言葉の意味、皆さんおわかりになりますか?
“雪隠(せっちん)”とは、何をかくそうトイレのこと。“門口”は玄関、“よう・ちょう”とは、でき物や腫れ物などの化膿性皮膚疾患のことです。つまり、「トイレが玄関と向かい合わせにあると、その家の住人は常に化膿性皮膚疾患を患うだろう」という意味なのです。
正直言ってそんなことはありません。マンションでは玄関のすぐ近くにトイレがあることが多いのですが、もしこれが本当のことであれば、マンションに住んでいる方のほとんどが、でき物や腫れ物で悩んでいることになってしまいます。しかし、“でき物や腫れ物”は根拠のない話ですが、玄関の近くにトイレがあることが、現代家相学上も好ましくないのは事実です。
それはなぜかというと、玄関の近くにトイレがあると、来客時に不都合なことが多いからです。まず、お客さんに与える印象がよくありません。たとえば、玄関からトイレが丸見えになる場合、トイレから出ようとして、偶然来合わせたお客さんと目が合ってしまうこともありますよね。そこが別の部屋なら問題はないでしょうが、便器が見え、水を流す音が聞こえ、おまけに臭いまで漂ってきたとしたら、ばつが悪いだけでなく、自分の家の印象まで悪くしてしまいます。だからといって、お客さんがいなくなるまでトイレの中で待機するのも考えものです。
家づくりの際には、できれば玄関のすぐ近くにトイレをつくるのは避けましょう。少なくとも、玄関からトイレの中が丸見えにならないよう、ドアの位置に配慮したいものです。どうしてもトイレが見えてしまうときは、衝立(ついたて)やカーテンなどで目隠しするとよいでしょう。

不都合なのは印象が悪いことだけではありません。家族の健康に影響する不都合もあるのです。「膀胱炎」という病気を皆さんもご存知だと思いますが、トイレに行くのを我慢したりすることで発症するケースも多いのです。玄関の近くにトイレがある場合、玄関先にお客さんが来ていたりすると、なかなかトイレに入れないものです。2階にもトイレがある場合はよいですが、そうでない場合にはトイレに行くのを我慢してしまいがちです。またCGのように玄関の上にトイレがある場合も同様ですから、家族の健康を損ねないためにも、家を建てる際は、設計に余裕があれば2階にも気兼ねなく使えるトイレをつくっておくとよいでしょう。
家の外にも不都合はあります。以前、「浄化槽に注意しろ」でもお話したように、日本は下水道の普及率が20%以下の県もたくさんあります。玄関の近くにトイレがある場合、汲み取り式や浄化槽などでは臭いも気になるものです。このような場合は、できる限り便槽や浄化槽の臭いがしないように、表玄関のアプローチ計画を検討することが大切です。また、便槽や浄化槽の周辺を樹木やガーデニンググッズで隠すようにするだけでも、玄関の印象はずいぶん変わります。そういえば、雪隠の“隠”の字も“隠す”という字ですよね。トイレはやっぱり、見えないほうがよいものなのです。
せっちん【雪隠】
「せついん」の変化 「便所」の意の老人語。
三省堂 国語辞典より
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