地盤沈下は大凶

皆さんは「不同沈下」という言葉をご存知ですか?

地盤の弱い土地に家を建てると、完成後しばらくして家が傾いてくることがあります。これを不同沈下というのです。お金も労力も気力も使って建てた家が傾いてしまうなんてことは、本来はあってはならないことなのです。しかし、現実に不同沈下に関する裁判は、現在全国で数多く行われているのです。

これまでにも何度かお話したように、家相は、人間が家の中で健康で安全に暮らすことを願うものです。家自体が傾いてしまうようでは、精神的にも肉体的にも不安な毎日を送らなければならず、健康や安全とはほど遠い生活になってしまいます。このようなことは、家相上も決してよいことではありません。


今では家づくりの一つのアイテムとなっている家相も、かつては一般の住宅に取り入れられるものではありませんでした。日本でも中国でも、家相は国家の安泰を願う術として、主に役人たちに利用されていたのです。城を築く時には家相が利用され、それは健康に住むという目的以外にも、いざ戦争となった際の防御や攻撃をも考慮したものでした。「城」というその国を象徴する建物には何よりも堅牢さが大切ですが、堅牢な建物をつくるには、まず頑丈な地盤が必要なのです。ですから家相の原点には、頑丈な地盤を探し求めることも含まれていたのです。家づくりではとかく間取りやインテリアに目を奪われがちですが、地盤が一番大切なのです。「地盤を固めろ」とか「物事の基礎」といわれるように、地盤はすべての出発点だからです

先日、東海大学工学部建築学科・藤井衛教授にお会いする機会があり、地盤に関する面白いお話を伺うことができました。藤井先生は住宅の基礎や地盤の分析の世界では有名な先生です。こう言うと先生は嫌がられますが、私は藤井先生のような方が現代の風水師であるように思うのです。なぜならどんなによい家を設計しても、どんなによいマンションを購入しても、地盤が弱ければ家という最大の財産は音を立てて崩れていくからです。不同沈下による家の傾きは、基礎や外壁・給水配管などの亀裂を生じ、その修繕のための費用もばかになりません。また万が一、地震が起きた時の被害も大きなものになるでしょう。ましてや裁判ともなれば、金銭的な負担に加え、精神的な負担も計り知れません。

固い地盤の土地に家を建てること、固い地盤の上に建つ一戸建てやマンションを購入すること。これは家相や風水上とても重要なことなのです。藤井教授とのお話の中で、「江戸城があった場所は東京の軟弱地盤層と頑丈な地盤層の境目ぎりぎりの場所で、江戸城は頑丈な地盤の方に建てられていた」という興味深い事実をお聞きしました。地盤調査の概念がない時代に地盤の強弱を先人の知恵が見極めていたとすれば、それこそまさに「家相・風水」であるのです。

先人たちがどのように地盤を見極めていたかはわかりませんが、現代では地質調査や地盤調査によって見極めることができます。家を建てる際はきちんとした地盤の調査をし、不安がある場合は補強の工事をすることです。特に大規模な造成をした住宅地では、場所によって地盤の強度も違ってきます。隣り合う土地で、片方の家だけが不同沈下する例も少なくありません。また一戸建てやマンションを購入する際は、地盤の調査・補強を行っているかどうか確認することが大切です。

地盤が強いか弱いかは、ある程度は地名からも推測できます。昔は土地の形状をそのまま地名にすることが多かったからです。例えば住所の地名に「田・江・谷」などがつく場合は低湿地であることが多く、干拓地や干潟の場合、「沖・須賀・由・新」などがつくことが多いのです。これらの漢字がつく場合は、地盤の弱い土地である可能性があります。逆に「丘・台」などがついていれば硬い地盤であることが多いようですが、これらはすべて古くからある地名の場合と思ってください。

なぜなら、もし私が悪徳業者と絡んで沼地を造成したとしたら、まちがいなく「緑ヶ丘」もしくは「山手台」と名付けるでしょうから。

   

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