家相の正体 |
私はよく、「どうして家相研究家になったのですか?」と尋ねられることがあります。そんな時、私はいつもこうお答えしています。「それは家相の“正体”を知りたかったからです」と。私はもともと住宅の営業マンで、家づくりの際に家相を気にする施主が多いことから、どちらかというと家相を疎ましく思っていました。せっかく決まった設計プランが、家相によって振り出しに戻ってしまうことはしょっちゅうでしたし、水まわりを鬼門から避け、なおかつ正中線からも避け、張り欠けのない家をつくるなどということは至難の技だったのです。しかし、家をつくろうとする人の約半数が、この厄介ともいえる家相を気にしている事実がある以上、否定するにも肯定するにも、まずは家相というものの正体を十分知るべきではないかと考えたのです。これが、私が家相を研究することになったきっかけでもあります。 ところが、家相に関する本を何冊も読んでいくうちに、私は家相を考慮したいと考える施主の気持ちもわかるような気がしてきました。それは、家相の本には、「鬼門に水まわりをつくると家族に病人が出る」とか、「鬼門の張り欠けは家に不幸をもたらす」とかいった脅しめいた記述がたいへん多いからでした。しかも、なぜ鬼門に水まわりをつくると病気になるのか、なぜ鬼門の張り欠けが不幸をもたらすのか、その理由や、どうしても鬼門や張り欠けを避けられない場合の対処法を教えてくれるものが、まったくといってよいほどなかったからです。 そこで今度は、それらの疑問を解消すべく、家相の基となる「陰陽五行説」や、江戸時代・明治時代の家相古書を探し集め、目を通していきました。そして、家相には次の4つの面があることがわかったのです。 1:駄洒落や語呂合わせ (現代では取り入れる必要はない) 2:陰陽五行説からみた方位と設備の相性 (現代では取り入れる必要はない) 3:鬼門(北東方向、南西方向)を異常に恐れる考え (史実から生まれたもので現代では怖いものではない) 4:先人の経験から積み重なる生活の知恵 (健康で安全に暮らすことを願うもの 現代こそ家づくりに必要) 1、2、3に関しては、現代では家づくりに取り入れる必要はないと私は考えています。しかし、4の「先人の経験から積み重なる生活の知恵」は、「人間が健康で安全に住める家をつくる術」という家相本来の姿であり、現代の家づくりにも必要な考え方だと私は思うのです。では、この家相の4つの面とはどんなものなのか、順番にお話していきたいと思います。 まず1、の「駄洒落や語呂合わせ」にあるように、家相には、洒落や語呂合わせ的な考えも含まれています。家相が日本に伝わったのは奈良時代ですが、当初は国の安泰を願う術として、主に役人たちに利用されていたようです。庶民が家相を取り入れるようになったのは江戸時代になってからといわれ、当時の遊び心が家相書にも表われていたものと思われます。 たとえば、私が所有する家相の古書にはこんな一節があります。「家の前から道が二股に分かれ、その分岐点の両脇に水溜りがある家は、火の災いが起こる相なり」という一節です。これは、このロケーションを絵に描いてみるとわかりますが、二股に分かれた道の形が「人」という漢字を表し、その両脇に水溜りがあることから、あたかも家の前に「火」という漢字があるように見えるのです。それゆえ、火の災いが起きる相といわれたのでしょうが、もちろん根拠はありませんし、現代では取り入れる必要のない、まったくの遊び心といえるでしょう。 家相がすべて、このような遊び心いっぱいのものであれば、家をつくる人も、家づくりに携わる人も苦労はしませんよね。では家相が生まれたとされる中国の「陰陽五行説」からみた考え方について、さらにお話を続けたいと思います。 |
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2005 家相研究家 小池康壽