紫外線をすべて遮断するな

「紫外線をすべて遮断するな」とは、なにを馬鹿なことを言っているのだろうと思われますよね。太陽光ならまだしも、紫外線と付き合うべきであるなんていう人はまず少ないですからね。テレビや雑誌などでは、紫外線にあたるとシミやソバカスができたり、皮膚ガンの原因となる可能性も言われていますから、現代の風潮では、紫外線はどうしても敬遠されがちです。



どちらかというと、悪者扱いされているのが現状でしょう。しかし私は、日本で初めて家相のサイトを運営してからずっと、紫外線を住まいに取り入れることを提唱しています。なぜなら住まいにとっても、そこに住む人間にとっても大吉となるからです。
すべての家は大吉だ
東南は大吉の場所だ

ただし、決して紫外線に直接当たりながら生活してくださいというのではありません。紫外線が多く照射される時間帯の太陽光を、積極的に取り入れる住まいをつくってほしいと願っているのです。



上記のプランは、先回ご紹介した中庭のあるプランです。家相を勘違いした図面だと先回もお話しさせていただきました。「東南に玄関があると出世するというから、いい間取りじゃないか」と思われる方もいるでしょうが、そもそもそんな力は東南という方位にはありません。

東南は下記のグラフにもあるように、午前9時から午後1時前後の、紫外線を多く含む太陽の光を受ける方位であり、その紫外線が持つ効果こそ、東南という方位の力といえるのです。


岡山県環境保険センター測定  画像提供トヨタ自動車

みなさんも紫外線の殺菌効果はご存知だと思いますが、近年また増えている結核菌でさえ、紫外線で死滅するといいます。ですから、この東南の方位から差し込む光や風は、殺菌され乾いた空気、清浄化された空気を室内にもたらします。まさに、自然の空気清浄機と私は考えています。

しかし、前頁のようなプランでは、東南の方位が持つ力をうまく取り入れていない住まいとなってしまいます。もちろん、浴室や洗面室、トイレ、玄関は太陽の光を浴びて殺菌されますから、まったく良い効果がないわけではありません。しかし私は、できる限りダイニングやリビングなどのメインの生活空間に、朝日や日中の太陽光をたくさん取り入れることを良しと考えています。私がプランニングを行なう場合も、それを基本として、乾いた空気、清浄化された空気を、まずは家族みなが一日のスタートに利用する居室に多く取り入れ、そしてその空気をダーティーゾーン(水回り)へまわすようにして、家全体に乾いた気(風)が通ることを理想と考えているのです。



昔から家相で東南を吉とするのは、太陽の力、紫外線の力を吉と考えているからです。確かに、紫外線は浴びすぎれば皮膚ガンやシミ、ソバカスの原因となるなど、良くない面があるのは否めないでしょう。しかし、殺菌効果や人間の健康上必要なビタミンDを形成するなど、人間にとって不可欠なものでもあるのです。



九州大の溝上哲也助教授(疫学)は、日射量とガン死亡率との関連を調べ、日射量が少ない地域ほど消化器系のガンで死亡する人が多いという研究結果を、医学誌で発表されています。溝上助教授は「極端に日光を避ける風潮が、消化器系ガンを増やす危険もある」とも指摘されています。

また、日本大学薬学部の榛葉繁紀講師(衛生化学)らは、朝日を浴びない生活を続けると脂肪をため込みやすい体質になることを突き止め、朝日を浴びることで体内時計が正常に働くようになり、脂肪をためにくい体質になることを時間生物学世界大会で発表されています。

そして、太陽光は子供の心身の健康にも影響を及ぼすことがわかっています。熊本大学病院長の三池輝久教授(小児発達学)らの研究では、不登校、引きこもりの対策として子供たちに早朝の強い光を浴びさせたところ、効果があることがわかり、入院治療を行った結果、全員に生活のリズムが回復し、思考力や活動意欲の低下に対しても改善の兆しがみられたといわれているのです。



また、紫外線から子供たちを守る徹底した運動を行なってきたオーストラリアでは、皮膚ガン抑制の一定の効果はあったものの、逆に紫外線を浴びないことでビタミンDが不足した成人も増え、内臓、乳ガンなどのガン患者が増える可能性も示唆されているそうです。

私の実兄も、日本睡眠学会の認定医として不眠症や就寝時無呼吸症候群の睡眠医療センターの院長をしていますが、朝日を浴びることで睡眠がとりやすくなることを、治療法の一環として患者さんに提唱しています。早朝の光、午前中の光を住まいに積極的に取り入れることで、さまざまな吉運が訪れるのです。ですから私は、講演や鑑定の際に紫外線の功罪(良いことと悪いこと)をお話し、そのうえで、紫外線が持つこれらの良い効果を得られるような住まいづくりを提唱しているのです。

通常のガラスでも紫外線領域に対して吸収性能があるため,周波数帯によって違いはあるものの、紫外線はある程度は透過しないといわれています。住宅メーカーや設計者の中には、紫外線を極度に嫌い、紫外線をカットするガラスを多用しすぎたり、極端に窓の少ないデザインの住まいを提案するケースも少なくありませんが、私はいつまでも紫外線の味方でいるつもりです。自動車と違い、住まいは紫外線をふんだんに取り入れても、体に一日中あたるわけではないからです。



もし完全に紫外線が100%罪だけのものであれば、住まいの窓をすべて紫外線カットのガラスを使用してFIXタイプにしたうえで、遮光カーテンなどで遮光して、紫外線の侵入を完璧に遮断しなければいけません。窓を開けて風を通そうとすれば、紫外線も当然室内に侵入してきます。紫外線を100%悪いものと考えて住まいづくりを行なうのであれば、窓も開けられない生活をすることになるでしょう。当然、紫外線だけではなく、もうひとつの大切なもの、風も遮断してしまうことになってしまいます。


画像資料提供  トステム株式会社

窓を全開し光と風をしっかり取り入れ、紫外線で家具や内装材が傷んだら、手入れをしたり、買い替えたりすればよいというのが私の持論です。それよりも、太陽や風の恵みに満ちた住まいで、健康的に暮らせることのほうが価値があると思うからです。

最後にもう一度言いますが、常に紫外線を浴びて生活をしろと勧めているわけではありません。いつも言いますが、何事も「中庸」が大切。ただ一方的に紫外線を嫌うばかりではなく、適度には付き合ってみてほしいのです。

紫外線には「罪」ばかりではなく「功」の力もあるのですから。

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こうざい【功罪】
てがらとあやまち。功績と罪過。
一つの行為や事柄に、功績と罪過が同じ程度にあるため、特によいとも悪いともいえない。
三省堂提供「大辞林 第二版」より

【結核】
結核菌の感染によって起こる慢性の伝染病。主に患者の咳、痰(たん)の飛沫に含まれる結核菌によって感染。感染後は肺に病巣をつくり、さらに他の臓器に結核菌が運ばれて、各部の結核症を起こす。
【結核菌】
結核の病原菌。紫外線に比較的弱く、痰(たん)の中の菌が直射日光にあたると六〜八時間で死滅。一八八二年、コッホが発見。
国語大辞典(新装版)小学館 1988

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