住いの七福神

突然ですが、みなさんは「七福神」をご存知ですか? 福徳を招く神として、日本では古くから信仰されている七人の神様のことです。年賀状の図柄によく使われる「宝船に乗った七人の神様」と言えば、ご存知の方も多いかもしれませんね。

この七人の神様とは、恵比須・蛭子(えびす)、大黒天(だいこくてん)、毘沙門天(びしゃもんてん)、弁財天(べんざいてん)、布袋(ほてい)、福禄寿(ふくろくじゅ)、寿老人(じゅろうじん)の方々で、「七難即滅、七福即生」の神々、つまり、七つの難を滅ぼし、七つの福を運んでくれるというありがたい神様たちなのです。それぞれの神様のプロフィールは、記事の末尾でご紹介しておくとしましょう。

話は変わりますが、私は常々「家相は対策できるものである」とお話しています。そして、現代のさまざまな住宅設備が、その力強い味方であることも、今までの記事の中でもご紹介してきました。そんな住宅設備の中に、実は七福神と同じように、いくつもの難を滅ぼし、多くの福を生んでくれるものがあるのです。今回はそのありがたい住宅設備について、お話したいと思います。

そのありがたい住宅設備とは「複層ガラス」のことです。複層ガラスには、住まいのさまざまな難を滅ぼし、多くの福をもたらす効果があるのです。ここで、複層ガラスについて簡単に説明しておきましょう。

複層ガラスとは、アルミサッシのガラス部分を2枚以上にしたもので、一般的には「ペアガラス」と呼ばれています。通常のサッシは3ミリのガラスが1枚ですが、複層ガラスの場合は2枚以上のガラスで空気層をつくり、合計12ミリ以上の厚みをもたせています。また最近では、真空構造の薄型の複層ガラスもできてきました。 1枚のガラスが複層になることで滅ぼされる「難」、また、もたらされる「福」とはどんなものでしょうか。順にお話してまいりましょう。

画像提供:トステム株式会社

まず第一には、遮熱・断熱効果が大きくなることです。通常のガラスの場合、冬は外部の冷気が、また夏は熱気が、どうしても建物内に伝わりやすいのです。冷暖房をかけても窓の近くが暑かったり、寒かったりするのはそのためです。それが複層ガラスになることで、外気の影響を受けにくくなり、冷暖房の効率もよくなります。ひいては光熱費の節約にもなりますから、打ち出の小槌をもった大黒天のように、お金をこつこつと貯めてくれるのです。


次には、結露が起きにくくなることです。冬は室内を暖房しますから、家の内外の温度差が大きくなり、窓まわりに結露が生じてしまいます。冬の朝、カーテンを開けたら、窓ガラスに水滴がびっしりとついていることがありますよね。先ほどもお話したように、窓ガラスは冬の冷気を伝えやすいため、結露を起こしやすいのです。結露で生じた湿気は、窓枠まわりを腐朽させるだけでなく、カビやダニを発生させ、住まいにも人間にも悪影響を及ぼしかねません。その点複層ガラスは、外部の冷気を伝えにくくなりますから、結露も緩和され、窓枠まわりの傷みやカビ・ダニの発生も少なくなります。複層ガラスは、福禄寿のように、住まいも人間も健康的な生活が送れるよう守ってくれるのです。

また、結露が少なくなれば、窓ガラスや窓まわりも汚れにくくなりますし、カーテンを濡らしたりすることも少なくなります。弁財天の美しい衣のように、おしゃれなカーテンで窓まわりを演出することもできるでしょう。

さらには、住まいの安全性が向上すること。台風などの強い風雨時も、複層ガラスなら安心です。また防犯上も、通常のガラスより強度が強くなりますから、割れにくく頼もしい存在といえるでしょう。最近では強化シートを装填した複層ガラスもあり、かなりの強度を発揮してくれるものと思います。よろい・かぶとを身に着け、怒りの形相で仏法を守護する毘沙門天のように、複層ガラスには、住まいとそこに住む人間を守ってくれる効果もあるのです。


防音の効果がアップすることも、大きなメリットでしょう。外部の騒音をシャットアウトしてくれたり、逆に、オーディオやピアノの音などが近隣へ聞こえないように防いでくれるのも、複層ガラスの効果のひとつです。騒々しい寝室や書斎では、ゆっくり休むことも、落ち着いて過ごすこともできませんし、音の問題は近隣トラブルの種になりやすいものです。静かでゆとりある生活、円満なご近所付き合いができれば、まさに恵比須顔で暮らせるというものでしょう

最後に、真冬は放射冷却により冷え込む朝が多いですが、複層ガラスは外部の冷気を室内に伝えにくいため、北側などに老人室を設計した場合でも、室温の変化が少なく、お年寄りの体にもやさしいのです。冬の寒さや、急激な温度の変化で負担を受けやすいお年寄りの体にとっては、よい環境がつくられ、寿老人のように長寿となられることでしょう。

このように1枚のガラスが2枚になることで、いくつもの福を確実にもたらしてくれるのです。もともと家相学とは、人間が健康で過ごしやすい環境をつくるための術ですが、どんなに間取り配置がよくても、住宅の設備や仕様によっては、運勢にも大きく差が出てしまいます。神様を住宅設備にたとえることは不謹慎ではありますが、複層ガラスはあらゆる福を運んでくれる「住まいの七福神」なのです。

ただし、そんな七福神にも、ひとつだけ困った点があるのです。実は、窓の重量がかなり重くなってしまうのです。布袋様の体型を見れば、それも致し方ないことですね…。











恵比須(蛭子)
蛭子神とも、事代主命ともいう。風折烏帽子に狩衣、指貫(さしぬき)を着け、釣りざおで鯛を釣りあげる姿をし、商家の福の神として祭られることが多い。夷三郎。えびすがみ。

大黒天
福徳や財宝を与える神とされる。狩衣のような服を着て、まるく低いくくり頭巾をかぶり、左肩に大きな袋を背負い、右手には打出の小槌を持ち、米俵の上にいる。大国主命を本地とする説が行われ、甲子の日をその祭日とし、二股大根をそなえる習慣がある。

毘沙門天
四天王・十二天の一。須弥山(しゅみせん)の中腹にあって、北方を守護し、多くの夜叉(やしゃ)・羅刹(らせつ)を統率するとともに、仏法を守護し、福徳を授ける善神。その形像は怒りの相を現し、甲冑を着け、片手に宝塔、片手に宝棒また戟を持つ。わが国では七福神の一つとする。毘沙門天王。多聞天(たもんてん)。北方天。毘沙門。

弁財天
後世(1)が、吉祥天と混同され、あるいは穀物の神である宇賀神とも同一視されて、多く「弁(辨)財天」と書き、福徳や財宝を与える神とされたもの。その像は、宝冠・青衣の美しい女神で、琵琶をひいている。弁天。

布袋
中国、後梁の高僧。九世紀から一〇世紀の人。腹の肥えた身体に、杖を持ち、日用品をすべて入れた袋をになって町の中を歩き、吉凶や天候を占ったという。日本では七福神の一神として親しまれる。布袋和尚。生没年不詳。

福禄寿
背が低く、長頭で長いひげをもち、杖に経巻を結び、鶴を伴っている像。幸福・封禄・長寿の三徳をそなえるといい、また、中国宋の道士天南星の化身とも南極星の化身ともいう。日本では七福神の一とされたのは室町時代以後。福禄人。

寿老人
中国宋の元祐年中の人で、寿星の化身という。長寿の神で福禄寿と同体、異名の神という。古くは福禄寿があってこの神がなかった。その像は白い髭(ひげ)長く垂れ、身の丈三尺(約九一センチメートル)の長頭の老人で、玄鹿を伴う。玄鹿は千五百歳を経た鹿で、その肉を食うと二千歳の長寿を得るというので、後世になってつけ加えられたという。南極老人。

    国語大辞典(新装版)小学館  1988版より


  


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