下より上が大きいは凶 |
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講演会で全国各地へお邪魔する際、私はいつも、その地域の「城」を見学することにしています。なぜなら、城が造られている場所は、まず間違いなく、家相学上その地域の中で最良の地であるからです。強い風からは守られ、ほど良い風を建物に取り入れることができるとか、清浄な川が近くを流れているとか、また、良質の井戸水が得られるなど、城はその地域の風の流れ、水の流れを十分に考慮した場所に建てられていることが多いのです。 人間の「位」や「権威」が明確にされていた時代のこと、「殿様」の住まいである城は、当然のごとくその地の最良の場所に陣取られていたのです。もちろん、当時と現在では、地形も環境も様変わりしていますが、その最良の地がどんな場所なのか見てみたいと思ったことが、“城巡り”のきっかけでした。 そしてもうひとつ、城という建物には、おもしろい特性もあるのです。それは、外敵から身を守るために施されたさまざまな工夫。現代でも、犯罪や災害などの外敵から身を守ることは、家づくりの重要なコンテンツですが、深い堀や高く頑丈に積まれた石組みなど、その“防犯精神”のスケールの大きさには、いつも圧倒されてしまいます。 * 写真は二条城です そんな理由で、私は各地のお城を見ることが楽しみのひとつになっています。先月、講演の折に出かけたのは、北九州の小倉城。今までいくつかの城を見てきましたが、家相学上はもとより、建築構造の面でも、この小倉城は非常に興味深い建造物なのです。 小倉城は1602年に細川忠興によって築城され、現存する天守閣は1959年に再建されたものだそうですが、この天守閣が、とても興味深い構造になっているのです。写真をご覧になるとおわかりのように、この天守閣は4階と5階の間に屋根のひさしがなく、5階部分が4階よりも大きくなっているのです。 ![]() 通常、城の天守閣といえば、上階が徐々に小さくなる「角錐形」のイメージが強いのですが、小倉城の場合は4階より5階が大きい、つまり“下より上が大きい”というユニークな形をしているのです。 しかし、この“下より上が大きい”建物は、家相学では昔から「大凶」といわれているのです。1階より2階が、2階より3階が大きい建物は、その形を想像してみるだけでも、アンバランスで不安定に思えますが、家相学で「大凶」といわれる理由も、このバランスの悪さなのです。下階より上階が大きければ、当然、下階の構造体への負担も大きくなり、建物の耐久性や耐震性の面でも不利になります。 形的には上下階が同じ大きさでも、たとえば、1階の全部、または一部を駐車スペースにして、その上の2階・3階を住居スペースにしている場合も、やはり“下より上が大きい”ケースといえるでしょう。 1階部分の壁や柱が少なくなりますから、上階を支える力が不足し、どうしても強度的に弱くなってしまうことが多いのです。そのため、このような建物は、地震の際などに被害を受けてしまう危険性も指摘されています。 現代では建築技術も進み、キャンチ構造など、上階が一部張り出した建物もよく見られるようになりました。デザイン重視のアンバランスな形状の建物は、基本的には家相学上は「凶」と考えたほうがよいのですが、構造上無理をするのなら、その無理に対応した構造計算や、施工上の補強をしっかり行うことが必要なのです。 小倉城の場合はというと、写真をよくご覧になるとわかりますが、下階より大きな上階の床を支えるため、数多くの支柱がしっかりと立てられています。つまり、“下より上が大きい”アンバランスな構造に、きちんと対策がなされているのです。もちろん昨今では、構造的な強度計算をきちんとしてくれる設計士さん、補強工事をしっかり行ってくれる施工会社、安全性の高い住宅を提供してくれるメーカーも少なくありません。ですから、きちんと対策をしたうえで、上階の一部を張り出したり、1階に駐車スペースをつくったりすることは、狭い日本のこと、逆に敷地の有効活用ができ、ある意味「吉」なのかもしれませんね。 そうそう、城を見てまわるのも楽しみなのですが、ご当地の名物をいただくのも、講演の折の楽しみのひとつです。小倉城へ出かけた私のお腹も、前夜からの博多名物で若干ベルトから張り出し気味…。これは間違いなく「大凶」のようです。 |
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2005 家相研究家 小池康壽