洗面所と台所が隣るるは凶相? |
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家づくりをするうえで、「動線」を考えた間取りをつくることは大切なことです。家相学の観点からも、家の中で安全かつ快適に行動するための動線は、当然考慮しなくてはいけません。![]() しかし、「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」。必要以上に動線を考え過ぎると、現代家相学上はかえって“凶”となってしまうおそれもあるのです。 その“動線を考え過ぎた”ケースとして、私がいつもお話しているのが、洗面所と台所が隣り合った間取りです。ドアあるいは引き戸を開ければ、台所と洗面所を楽に行き来できるこのような間取りを、家事動線が考慮されたよい間取りと考えている方も多く、鑑定で送られてくる図面の中にも、洗面所と台所を隣接させたものがよく見られます。また、さらに動線を考え、台所内に洗濯機置き場を設けたり、システムキッチンと洗濯機スぺースを並べて設計している場合もあります。 台所で調理をしながら同時に洗濯ができたり、お風呂の掃除ができたりと、主婦の家事労働の環境からいえば、洗面所と台所が近い位置にあるのは確かに便利です。特に朝夕忙しい主婦の方にとって、洗面所と台所を数歩で行き来できる間取りは、家事時間の短縮もできる理想の間取りなのかもしれません。 しかし、私はいつも、これらのケースに対して「家事動線は考え過ぎないほうがよいのです」とお話しています。こんなことを言うと、忙しい主婦の方たちには反感を持たれるかもしれませんね。 勘違いなさるといけませんのでお話しておきますが、私が「考え過ぎるな」という動線とは、あまりにも便利過ぎる動線のことを指しているのです。なぜなら、便利過ぎる環境が、食中毒や体調不良など、健康に悪影響を及ぼすことになるおそれがあるからです。 ![]() 台所の隣に洗面所を設計している場合、また台所内に洗濯機スペースを設けている場合、鑑定の際にその理由をお尋ねすると、必ず返ってくるのが「台所仕事と洗濯を一緒にしたいから」という言葉です。しかし、台所の調理という作業と洗濯という作業とは、昔から家相学上非常に相性が悪いのです。調理は「火」を使う作業で、洗濯は「水」を使う作業、陰陽五行説の「相剋」の関係にあるように、火と水は互いを打ち消し合う相性の悪い間柄といわれてきました。 現代家相学上も、至って相性の悪い間柄です。調理は衛生面での注意が不可欠な作業、洗濯は汚れた衣類などを触る作業。この2つの作業を同時に行うことで、調理に必要な衛生面が、衣類に付いたばい菌などに打ち消されてしまい、健康を害するおそれもあるのです。たとえば「ぎょう虫症」です。 朝起きてすぐに、お尻にセロハンテープのようなものをペタンと貼り付ける「ぎょう虫検査」、みなさんもされたことがあると思います。この「ぎょう虫」というのは非常に厄介な虫で、人間の腸の中に潜み、寝ている間に肛門から体外に這い出て、肛門の周囲の皮膚に卵を産み付けていきます。ぎょう虫の卵は粘着性の物質によって皮膚に付着しますが、この粘着性の物質、またぎょう虫が肛門周囲を動き回ることにより、かゆみが生じます。子供が「ぎょう虫症」に罹ると、肛門のかゆみで落ち着きがなくなったり、寝不足になって体調をくずしたりすることもあるのだそうです。 ![]() ぎょう虫症は、下着に付いた卵が手や爪などに伝わり、ものを食べたり爪を噛んだりすることで口から感染します。洗濯で汚れた下着などを触り、その手で調理をすれば、ぎょう虫の卵に限らず、さまざまな雑菌を口の中に入れてしまうおそれがあるのです。だからといって、洗面所と台所が隣り合っていたら、必ずぎょう虫症になるというわけではありません。どんなに離れた場所でも、同時に洗濯と調理をすれば同じですし、調理の前にきちんと手を洗えば予防できます。しかし、つい手を洗わずに調理をしてしまうことが、ないとは言えません。ぎょう虫症と聞くと、ひと昔前のことのように思いますが、今でも検査で陽性が発覚する子供さんがいるそうです。便利さの陰には、思わぬ危険も潜んでいるのです 平成9年度千葉県で、ぎょう虫卵検査は幼稚園、小学校、中学校、養護学校などを対象に延べ266,678人について実施し、うち陽性者は、2,685人(陽性率1.0%)であった。 洗面所と台所が隣り合うことの注意点は、もうひとつあります。それは、洗面所は非常に汚い環境であるということです。特に洗濯機の周辺には、髪の毛や陰毛、衣類の綿ぼこり、人間の皮膚の垢などがたまっています。洗面所の多くは浴室とつながっているため湿気が多く、ただでさえカビや雑菌が繁殖しやすい環境なのです。そこに埃や髪の毛などがたまれば、カビやダニ・さまざまな雑菌の繁殖には絶好の場所となってしまいます。台所と洗面所を楽に行き来できる間取りでは、これらのカビ・ダニや雑菌も、自由に台所へと入っていけるわけです。 また、カビやダニ・雑菌だけでなく、湿度そのものも台所へと流れていきます。湿度は部屋間で均衡する性質を持っているため、左図のように、入浴後の浴室の湿気がドアや壁の隙間から隣接する部屋に入り、均衡化しようとするのです。 ![]() 台所と洗面所が隣り合っていれば、当然、台所も湿度の影響を大きく受けてしまいます。気をつけなければならないのは、台所が食物を扱う場所だということです。台所自体も湿度の低い場所ではありませんから、さらに湿度が高くなれば、食材の傷みにも注意しなければなりません。 便利であることはよいことです。家づくりに便利さを求めることも、現代家相学上間違いではありません。しかし、便利であることによって生じる問題がないかどうか、また、それらの問題の対策法を考えることも大切なことだと思います。 そこで、台所と洗面所が隣り合う場合の対策について、最後にお話しておきましょう。まずは湿度の対策です。入浴後の残り湯はできるだけ早く抜くようにし、浴室の窓を開けて風を通したり、換気扇や浴室乾燥機などで除湿・乾燥させることです。洗面所に換気扇や除湿機などを設置すると、さらに効果的です。 ![]() また、台所で換気扇を使用すると、浴室・洗面所からの湿度の高い空気を、より引き込んでしまいます。台所の換気扇を使用する場合は、台所内の空間だけで換気ができるよう、台所内にある窓を開けるか、台所用空気導入・熱交換型換気扇や吸気連動型換気扇を取り付けるとよいでしょう。 洗面所と台所が、カビやダニ・雑菌のパラダイスとならないように、こまめに掃除をすることも重要な対策法です。もちろん、台所仕事の前にはその都度よく手を洗うこと、これは忘れてはいけませんね。 ただでさえ日本は湿度の高い国、そして、折しも梅雨の季節。次回は現代家相学の観点から、梅雨時に起こりやすい食中毒についてお話したいと思います。 |
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