正中線・四隅線

皆さんは、「正中線(せいちゅうせん)・四隅線(しぐうせん)」という言葉をご存知ですか?「鬼門」や「張り・欠け」は家相ではお馴染みですが、この「正中線・四隅線」をご存知の方は、かなりの「家相通」といっていいでしょう。

家づくりの際に、「鬼門」を気にされる方は相変わらず多いものです。「張り・欠け」もまた、よく相談を受ける項目ですが、鬼門や張り・欠けほどメジャーではないものの、意外に気にされるのがこの「正中線・四隅線」なのです。皆さんご承知のように、家づくりには、建築基準法や都市計画法などの様々な制限があり、思いどおりの設計ができないことも少なくありません。その上さらに、わけのわからないこれらの「線」まで気にしていたら、家の設計などできなくなってしまうでしょう。

では、その正中線・四隅線とはどのようなものなのでしょうか。
まず、建物の中心をわり出します。(この中心とは質量の中心、つまり重心のことです)この中心から、真北・真南・真西・真東に延びた線を正中線、北西・南東・北東・南西に延びた線を四隅線といいます。これらの線上に、トイレの便器やお風呂の浴槽はもちろん、キッチンの流しやコンロの火気、玄関のドアや窓などがあると、災いが起こり家相上よくないと昔からいわれています。

具体的に図面の上で見てみましょう。


上の図面は、「張り・欠けなど気にするな!」でも例としてあげた、ごく一般的なよくある間取り図面ですが、ご覧のように、真南の玄関ドアが正中線にかかっています。
また、キッチンの流しやコンロ、お風呂の浴槽も四隅線にかかるおそれがありますし、もし北が若干ずれていたとしたら、今度はトイレや勝手口のドアが四隅線にかかることになるでしょう。

ただでさえ狭い日本の土地環境で、鬼門を避け、なおかつ正中線・四隅線までクリアして設計することなど、現実には不可能でしょう。「正中線・四隅線上にある玄関は家族の不和を招く」といわれますが、わが家は真南に玄関があっても、至って家族円満です。

また、「正中線・四隅線上にキッチンのコンロがあると、災いが起こる」ともいわれますが、これはコンロの火気を嫌っていうものですが根拠はありません。どうしても気になるなら、火を使わないIHヒーターにすればよいのです。お風呂やトイレを別棟にしていた昔と違って、何もかもがひとつ屋根の下にある現代の家には、正中線・四隅線は到底取り入れることなどできない考え方なのです。

さらに、家相には「定方位」といわれる、これまた厄介な方位があるのをご存知ですか? 定方位は生まれた年から割り出すもので、例えば1960年生まれの人は、「四緑木星」という星になり、この星の生まれの人は「東南」が定方位となります。この定方位も、鬼門と同じように忌み嫌われ、一家の主人の定方位に水周りや玄関をつくるのはタブーとされているのです。

鬼門だけでも十分なのに、正中線に四隅線、おまけに定方位とやらまで気にし出したら、お風呂やキッチン、トイレや玄関は、一体どこにつくればよいのでしょう。また百歩譲って、これらの言い伝えが根拠のある正しいものだとしたら、現代の家はどうなってしまうのでしょう。次から次へと災いが起き、とても住めたものではないでしょう。

私は常々、家相には家づくりに必要な部分と、不要な部分があるとお話しています。大切なのは、それらをきちんと見分けること。正中線・四隅線、定方位などは、家づくりには不要な部分なのです。あっても役に立たないどころか、かえって邪魔になる正中線・四隅線、そして定方位のことを私はこう呼んでいます。「家相の粗大ゴミ」と。


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