三角形の土地は大凶相

家相の古書には、家の間取りや構造だけでなく、敷地の吉凶に関する記述も数多くみられます。たとえば「三角形」の敷地。これは「大凶相」だと言われているのです。先人たちによれば、その理由は病気や火災、争いごとなどの災いを招くからだとか。

もちろん、これらの「災い」は単なる迷信です。なぜ病気になるのか、なぜ火災や争いごとが起きるのか、その理由も根拠もありません。しかし、現代でもやはり、三角形の敷地が凶相であることに変わりはないのです。今回はその、迷信ではない理にかなった理由について、お話してまいりましょう。

私は、多くの家づくりに携わりましたが、三角形の敷地には数多い苦い経験があります。三角形の敷地は、設計が非常に難しいのです。敷地の面積の割には建物面積が取りづらく、どうしても敷地に無駄なスペースができてしまい、「敷地を有効に使いたい」という施主の希望に沿えないことが多いのです。凸凹の多い複雑な間取りにするか、いっそ三角形の家にでもすれば、建坪も大きく取れ、敷地が無駄に残ることは防げます。しかし、健康で安全に住まうことを願う家相学の観点からも、これは「大いに問題あり」なのです。なぜなら、凸凹の多い家や、三角形のように変形した形の家は、建物の強度が弱くなるからです。

以前の記事「張り・欠けはここに注意!」でもお話した家の「重心」と「剛心」。家の質量の中心である重心と、強さの中心である剛心との距離が短い真四角な家ほど、耐震性が高くなり、凸凹の多い家、変形した形の家は、この2つの中心点の距離が離れやすく、耐震性の面では不利になるのです。また、複雑な形や変形した形の家は、屋根の形状も複雑であったり、変形したりしますから、雨漏れもおきやすくメンテナンスの面でも有利とはいえません。




三角形をはじめ、変形した土地の場合、一般的には四角い土地よりも価格が安くなっていることが多く、一見“お買い得”に思えます。しかし、有効建築面積が少ないため、実際には「割高な土地」となってしまうことも多いのです。「予算的には手頃なのだが、家相上はよくないと聞いたので…」と、三角形の土地の購入を相談してくる方もよくあります。ほとんどの方は、何か災いが起きるのではないかと心配してみえるのですが、本当に心配すべきは、有効建築面積が少なく設計が難しいという、もっと現実的な災いなのです。


もっとも、三角形の敷地であっても、強度を優先した四角い家をつくればよいわけです。三角形の隅に残る鋭角部分のスペースは、もったいないようでも、花壇や家庭菜園、自転車置き場などに利用しましょう。なぜなら、この三角形の隅の鋭角部分が、「大凶」であることのもうひとつの理由だからです。




三角形の敷地の多くは、このCG画像のように、二本の道路に挟まれた状況であることが多く、自動車の飛び込み事故や、鋭角に曲がる際の巻き込み事故などが発生しやすい場所でもあります。道路の状況によっては、敷地を隅切りして、自動車が曲がりやすいようにしなければいけませんし、それだけでは安全とはいえません。自動車が飛び込まないという保証はありませんから、万一のことを考え、隅の部分はできる限り空けておくことが望ましいのです。

このようなロケーションの場合、昔から三角形の隅の部分に石を置いてある家が多いのですが、これも、飛び込み事故の被害を大きくしないための生活の知恵なのでしょう。ただし、見通しを悪くして、かえって事故を起こしやすくしてしまっては困ります。この部分には、視界を遮るほどの樹木を茂らせないこと、また、フェンスなども透視性のあるものを選ぶなどして、見通しをよくしておくことも大切です。

「三角形の土地は大凶相」。現代には現代なりの理由があるのです。もっとも、“お買い得”なワケをよく承知したうえで購入し、無理のない設計の安全な家をつくるのであれば、「大凶」という言葉は返上できるでしょうが。
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【重心】 じゅうしん
1、物体の各部分に働く重力の合力が作用すると見なせる点。質量中心と一致する。
2、数学で、図形F上に一様に質量を分布させたときの質量中心のFに対する称。三角形のそれをさすことが多く、三つの中線の交点と一致する。
国語大辞典(新装版)小学館 1988  

【剛心】
地震がおきるとその力に対して、建物の構造や骨組(壁、柱、梁)が抵抗する力をもちます。この抵抗する度合いを剛性といい、剛性の各階の中心点を剛心という。
【偏心率】
重心点と剛心点の距離を偏心距離といい、この偏心距離からねじり剛性を求めて、偏心率を算定する。数値では、0.15以下であれば望ましい数値とされている。


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