ペットがもたらす吉と凶

犬や猫などのペットと一緒に暮らす方は多いですが、最近は家を建てる際に、ペットの部屋やペットの生活コーナーを家の中につくる方が、少しずつ増えているように思います。マンションの広告などを見ても、分譲の場合はもちろん、賃貸でも「ペットと入居可能」という物件が増えていますし、住宅メーカーも、犬や猫と一緒に暮らすことをテーマとした家を発売するなど、ペットたちの生活も、屋外から屋内へと変わってきているようです。

ですから、ペットに関する相談は、実は結構多いのです。「家の中でペットを飼うことは、家相上良いことでしょうか。それとも悪いことでしょうか?」という質問に、私はいつも、「家の中でペットと一緒に住むことには、吉凶が入り混じります」とお答えしています。つまり、良いこともあるが、悪いこともあるということです。

では「吉」、つまり良いこととはどんなことなのでしょうか。皆さんは「アニマルセラピー」という言葉を聞かれたことがありますか?動物の持つ優しさ、温もりには、人間の心を和ませてくれる効果があり、老人ホームなどでは、犬を飼ったり、犬と触れ合う時間を定期的に設けたりしているところもあるそうです。また、ペットの出産や死を通して、命の大切さや思いやりを、子供たちに教えるよい機会にもなると思います。

しかし、動物は本来外で生活するものです。家の中で飼うことが一概によいことばかりではありません。むしろ、これからお話する「凶」の部分の方がはるかに多いのです。その中でも特に注意しなければならないのは、人間の健康面への悪影響です。ペット好きの方にとって、ペットは家族同様に愛しいものですが、ペットが様々な感染症の原因となり得ることも認識しなくてはなりません。

現在、約200種類の「人畜共通感染症」があるといわれています。例えば「トキソプラズマ症」は、猫の糞に潜む原虫が原因でも起こり、リンパ節炎や目の脈絡網膜炎を引き起こすもので、抗体をもたない妊婦さんが感染すると流産を招きやすい病気です。犬の毛などにつく皮膚糸状菌も厄介ですし、鳥などは「オウム病」や、鳩の糞が原因となる「クリプトコックス」など、人間の脳に障害を与えることもある恐ろしい病気の原因にもなり得るのです。


ペットと一緒に住む場合は、これらのこともよく考えて、ペットの居場所をつくることが大切です。先ほどもお話したように、ペットが原因となる病気のほとんどが、排泄物や毛などから感染することが多いため、ペットの部屋やペットのコーナーをつくる際は、まず何より「清潔」であることを第一に考えましょう。できれば排泄は外でさせることですが、小型犬や猫のように家の中で排泄をさせる場合は、排泄物に潜む雑菌や臭いが、家の中に漂わないような場所にしなければなりません。よくマンションのベランダで犬や猫を飼っている方がみえますが、風の取り入れ口であるベランダを、ペットの居場所にするのは好ましくありませんし、近隣の方にご迷惑をかけてしまい社会から孤立するケースもあるでしょう。また排泄物だけでなく、抜け毛やノミ・ダニの影響も心配です。掃除がしやすいような設計や工夫も不可欠です。壁のクロスなども消臭効果のあるものを選び、床材もフローリングにするか、カーペットにするか、ペットによっては慎重に選びましょう。

現代の住宅は、気密性が高くなった分、空気環境を悪くしやすいという欠点があります。そのうえ家の中でペットを飼えば、臭いや抜け毛などで、なお不快な環境になってしまいます。ペットの臭いが蔓延した家では、来客があった場合にも好印象は持たれず、社会運が衰退する恐れも否めません。



私は大の犬好きで、盲導犬協会のリタイアウォーカーとして、2匹の盲導犬協会のリタイア犬を飼っています。かわいいペットを悪者にしないためにも、私たち人間がしっかりしなければなりません。ペットと一緒に暮らすことが、「吉」となるか「凶」となるかは、私たち人間次第なのです。我家の名犬たちも、そう申しております。









*トキソプラズマ症
(トキソプラズマはラテンtoxoplasma)トキソプラズマという原虫が寄生して起こる比較的まれな病気。病人の大部分は乳幼児。多くは先天型で、重い脳障害の徴候を示して、しばしば生後数週間で死亡。後天型では、疲労感、発熱、発疹、脳炎、リンパ腺炎などの症状を起こす。

国語大辞典(新装版)小学館 1988

トキソプラズマ症

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