オープン外構は、大凶なり。 |
|---|
| 家相研究家として、「こんな住まいはつくってほしくない」という例をいくつかご紹介してきましたが、今回ご紹介するのは「オープン外構の住まい」。門や塀、フェンスなどを設けないオープンなスタイルの外構が近年は増えていますが、私はそれらの図面を拝見していつもこう思います。「この家は泥棒に入られるな…」と。 年間多くの図面を拝見しますが、ここ最近は半数近くの方が、オープンな外構を計画されているように思います。それにはいくつかの理由があります。ひとつは、オープンスタイルの外構はセンスが良く安価だからと、それを望む施主が増えていること。ブロック積みにフェンスや門扉という従来のスタイルに比べ、オープンな外構は開放的で個性的と感じる人が多いのでしょう。フェンスや門扉を省けば、工事費もそのぶん安くなりますからね。 ![]() もうひとつの理由は、業者や設計者側がオープン外構を勧めるケースが増えていることです。注文住宅などの場合、外構工事は自身の評価にはつながらないために、住宅メーカーの担当者が施主側に任せてしまうことがあります。設計士も建物管理だけで手一杯で、外構工事の依頼を受けないケースも多いようです。また分譲住宅などでは、しっかりした外構工事を行なうと総予算が増えてしまい、販売がしにくくなるために、販売価格を下げるテクニックとしてオープンな外構にする場合も多いのです。 日本の住宅の防犯レベルが低いのは、住宅メーカーや設計者側に問題があると、私は常々思っています。総予算を安くするためや手間を惜しむことが、住まいの安全性を大きく失うことになっているのです。もちろん、「外構工事がきちんと完成してこそ住まいである」といった、信念を持ったすばらしい図面を拝見することもありますが。 ![]() 私は講演会などでも、住まいの防犯についてよくお話ししていますが、オープンな外構は外からの侵入を遮るものがなく、容易に侵入できるイメージがあるため、やはり泥棒には狙われやすいといえます。もっとも、堅牢な門や塀で家を囲んでしまうのも、かえって死角をつくることになり良いことではありませんが、無防備とも思えてしまうような図面を見ていると、もっと外構工事にも考慮してほしいと、つくづく思ってしまうのです。 ここで、なぜ私がオープンな外構は防犯性が劣ると言うのか、もう少し詳しくお話しいたしましょう。「オープンな外構が泥棒に狙われやすいのはわかった。でも、建物自体の防犯対策が施されていれば問題はないだろう」と思われる方も多いでしょう。確かに、建物自体の防犯対策は重要です。窓ガラスを防犯ガラスにしたり、鍵を2重にするなどの対策も大事ですが、それらは主として留守中の対策ですね。家にいて、窓を開けて生活している時は、防犯ガラスも2重ロックもまったく効果はなく、外から容易に敷地内に入ることができれば、泥棒は簡単に家の中に侵入できます。日本は四季がありますから、春や秋など1年の半分以上は窓を開けて生活することが多いですね。つまり、私がいうオープン外構の問題点とは、在宅時の防犯性に劣るということなのです。 在宅時に侵入され、命を奪われるという凶悪犯罪が、昨今は後を絶ちません。「家にいるときは防犯対策なんて必要ないだろう」と思われるでしょうが、安全の「安」は家を表す「うかんむり」の下に女がいると書くように、女性が一人でも安心していられる住まいこそが、安全な住まいであると私は解釈しています。留守中の防犯は重要でないといっているのではありません。しかし、留守中は万が一泥棒に入られても、お金を家の中に置いていなければさほどリスクはありません。お金や貴重品は、盗られてしまってもまたやり直しがききますからね。現代の住まいには、在宅時の防犯こそが大切だと私は思うのです。 「じゃあ窓を開けずに生活したらいい」なんて言わないでくださいね。窓を開けずに生活していたら、換気が不十分でさまざまな臭いもこもり、ほこりや湿気もたまります。カビやダニも繁殖しやすく、不健康な生活環境になってしまいます。24時間計画換気扇に頼るのと、窓を開けて自然の風を取り入れるのと、どちらが良いかは言うまでもないでしょう。 ![]() 防犯性を考慮して外構工事を行なえば、在宅時も安心して風通しを確保できます。風通しを確保できれば、建物の寿命を伸ばし、人間も健康的に住むことができるでしょう。外構は見栄えだけでなく、住まいの安全性や快適性をアップする役目も持っているのです。 では、どんな外構がよいか、私がよくアドバイスさせていただくのは、透視性と通風性のよいフェンスを家の周囲に設置すること。簡単に乗り越えられるような低いものではなく、ほどほどの高さのあるものにしましょう。高いブロック塀や透視性の悪いフェンスは、一旦侵入されてしまったら逆に周囲から気づかれにくく、風通しも悪くなりますので避けましょう。また、門扉もできるかぎり取り付け、簡単に外から開けられないような鍵付きのものにされることです。車の盗難も多いご時世ですから、ガレージにも扉などを付けられるとよいですね。インターホンはモニター付きにして、来訪者が確認できるようにしておきましょう。やむを得ずオープンな外構にする場合は、風通しを必要とする部屋には面格子や通風型シャッターなどを取り付けて対策することが大事です。 ![]() 「画像提供 トステム株式会社 トステムアリーズ」 もしオープン外構の施工をしてしまい、現在不安を感じている場合は、センサーライトなどでも敷地内への侵入の威嚇効果はありますが、音声威嚇装置を設置するとより高い防犯効果がオープン外構でも得られるでしょう。 防犯性を考慮した外構工事を行うことで、泥棒に入られない幸せな住まいになるだけでなく、風と仲良くできる健康的な住まいも手に入れることができるのです。 ![]() 江戸城をはじめとする城の周囲には、敵から攻め込まれまいとお堀が廻らされています。これこそ、戦国時代の究極の外構といえますね。時は移りましたが、私たちもまた、自分の城であるわが家を守らなければならない時代に生きているのだと思います。 |
このサイトをご利用いただく際の、著作権に関するお願いがございます。
(C)copyright
2005 家相研究家 小池康壽
![]()