闇雲に中庭をつくるべからず |
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下記のプランをご覧ください。このプランは、住宅展示場で中庭のあるモデルハウスを見て以来、中庭がある住まいに憧れていた施主が、占い師に家相も見てもらい、「東南に玄関があると出世する、東南のトイレも家族が健康に暮らせるから大吉である」と、お墨付きをもらったというプランです。着工を前に、これでよいのか再度心配になり、遠路鑑定におみえになりました。![]() まずは、ズバリ家相を勘違いした図面だと申し上げました。東南の玄関はたしかに吉相ですが、家人を出世させる力までは家相にはありません。そして、いくら中庭に憧れていたといっても、今回は南道路に面した決して狭くない敷地。プライバシーを確保したいという理由もあったそうですが、せっかくの日当たりのよい場所を水回りや玄関だけにしてしまうのは、あまりにももったいないことだとお話ししました。たしかに、このような形にすればプライバシー上の縁切りはできますが、それと同時に、太陽の光や風とも縁遠い生活空間になってしまいます。 私の多くの建築経験からも、このような中庭や坪庭の凹部分は、風通しが悪く湿気がたまりやすくなるといえます。ましてや樹木でも植えれば、水やりなどでさらに湿気がたまり、外壁にカビが生えて傷んでしまったケースも数多く見てきました。リビングや和室にも、中庭の湿った空気が流れてくることにもなりかねません。 ![]() こういうお話をすると、「窓を閉めてエアコンで生活すればいいのでは?」なんて言われる方もいますが、住まいにとっても、そこに住む人にとっても、自然の風に勝るものはありません。特に、現代の住まいは高断熱・高気密だからこそ、窓を開けて風を通すことが重要となります。湿気や臭気の除去には、やはり自然換気が非常に有効ですし、自然のそよ風には、エアコンなどの空調機器では得られない心地よさがありますからね。 そして、この中庭にはもうひとつ、注意していただきたい点がありました。実は今回、この施主は、図面の他に敷地周辺の写真も何枚か持参されました。その写真で見ると、ちょうど中庭の凹部分に面して、隣家の台所の換気扇、ダイニングのエアコンの室外機、ガス給湯器などが設置されていたのです。 昨今の建物は換気扇を取り付けることが義務づけられていますから、この中庭のような凹部分にも、吸気口を取り付けるケースが発生します。ただでさえ湿気が多く、空気のよどみやすい場所に、隣家の台所の排気やエアコンの室外機の熱気、給湯器の排気などが流れてくる状況だったのです。 ![]() 家を建てるときは、自分の住まいのことだけで頭がいっぱいで、周辺のことまではなかなか気が回らないのが普通です。東南に玄関やトイレがあれば幸せになれる、憧れの中庭もあり、周囲から見られずに安らぐことができると単純に思われてしまったのでしょう。 しかし、周辺の状況を考慮することを怠れば、リビングや和室という最も安らぎたい居室空間に、自然のそよ風が入らないばかりか、よどんだ空気や湿った空気、隣家からの排気や熱気までもが流れてくることにもなりかねません。これでは、とても安らげる空間ではなくなってしまいますね。 建物の形状や周囲の状況を考慮することは、常に換気を必要とする高気密住宅だからこそ、より重要になっていると私は考えます。これは一般住宅だけではなく、マンションなどでも同じです。風通しが悪いベランダに吸気口があったりすると、隣家の生活臭やエアコンの室外機の熱気が入ってくることを私も体感しています。 ![]() 最後に、私は決して「中庭をつくるな」といっているのではありません。都心の限られた住宅空間では、中庭や坪庭は安らぎを演出してくれますし、採光を確保するためのテクニックとして、大切な手法でもあります。ただ、住まいへの影響や住み心地を考えずに、闇雲につくることはしてほしくないのです。そうでないと今回のように、風通しが悪く、お隣の献立が毎日わかる住まいになってしまいそうですからね。 -------------------------------------------------- |
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2005 家相研究家 小池康壽
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