家は小さいほうが大吉だ!

家相では昔から、「宅大にして住む人少なきは、次第に貧窮になる相となせり」といわれています。これは、「大きな家に反して住む人が少ないのは、次第に貧乏になっていく相である」という意味です。大きな家に少人数で住むなんて、うらやましいことではないかと思ってしまいますが、実は家相学上はあまり好ましいものではありません。

実際に、昔は立派だったお屋敷が、年を経るうちにだんだんと衰退していく例は意外に多いものです。一代で財を成し立派なお屋敷を建てたはよいが、子や孫の代になって、その大きさゆえに管理が行き届かなくなり、家も庭もみすぼらしく姿を変えてしまうことも少なくありません。建物や庭が大きければ、その分メンテナンスも大変ですし、相続税や固定資産税という日本の税法も、この言葉の意味を裏付けているような気がします。これは、建物としてだけでなく、「家」というものを受け継いでいくことの難しさをたとえた言葉でもあるのでしょう。

現代家相学の観点からも、“大き過ぎる家”ゆえに注意したい点はいくつかあります。まずは、やはりメンテナンスの面。家は建てっぱなしというわけにはいきません。土台や屋根・外壁などは、年月が経てばそれなりの補修が必要になります。家が大きければ、当然補修部分も多く、費用も時間も労力も余計にかかるわけです。また掃除も同じです。部屋数が多く面積も広ければ、自然と掃除も行き届かなくなってしまうでしょう。大きくて立派な家でも、たとえば壁がひび割れたままだったり、家の中が埃だらけだったりしたら、訪れる人の印象もよくはありません。

また、大きな家になればなるほど、家の中の寒暖の差、明暗の差が大きく出ることになります。特に南北に大きな家では、南側と北側の温度差が大きくなり、北側にある部屋はより寒さによる影響を受けやすいといえます。お風呂が北側にある場合は、ヒートショックなどが起きやすい環境となりますから、健康面での注意も必要です。家の中央部が暗くなることにも注意しましょう。家が大きくなればなるほど、中央部には自然の光が届きにくく暗くなります。中央部に廊下や階段がある場合は、暗いことが原因で転倒事故などが起きやすくなるおそれもあるのです。

最後に、防犯面での注意も欠かせません。家が大きければ、その分侵入口となりうる箇所も多くなるわけです。反して住む人が少なければ、不審な物音などの異常に気づかない場合もあるでしょう。「宅大にして住む人少なき」場合は、鍵の強化や防犯装置の取り付けなどの対策が不可欠です。このように、家が大きくなることで、より注意が必要になることもさまざまあるのです。

「宅大にして住む人少なきは、次第に貧窮になる相となせり」というこの言葉は、必要以上に大きな家をつくることを、ただ単に「よくない」と言っているわけではなく、家が大き過ぎるがゆえに起きるさまざまな問題に、注意を促しているのだと私は解釈しています。大きな家に少人数で住んでいても、家のメンテナンスも掃除も、防犯面も行き届いているお宅はたくさんあります。家相上好ましくないとされるのは、むしろこれらの注意点を考慮もせず、ただむやみに大きな家をつくろうとする考えです。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」といいますが、家も同じです。自分たちの手できちんと“お守り”ができる家が、家相学上もよい家なのです。

「宅大にして住む人少なきは、次第に貧窮になる相となせり」。私は小さなわが家にお招きするお客様に、いつもこの言葉を自慢げに解説しています。

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