北の国から |
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| 今年も講演で日本各地へお邪魔するのが楽しみですが、2003年最初の講演は、北の大地、北海道でした。この時期の北海道はおいしいものばかりで、講演が終わってからの“ひと仕事”もまた、楽しみのひとつです。しかし何より、私は家相研究家として、北海道の家作りにとても興味を惹かれるのです。 私は、北海道は住宅の先進地区であると考えています。日本の住宅は、まさに北の国から、さまざまなチャレンジが始まっているといっても過言ではないのです。北海道といえば、言わずと知れた厳寒地域。寒さも積雪量も半端じゃありません。その過酷な気候条件に、大手でも北海道にだけは市場を広げない住宅メーカーも意外に多いのです。 欧米の住宅寿命が優に100年を越える中、日本のそれが平均30年と極端に短いことは、以前の記事「家相の“正体(生活の知恵編)”」や、「首相官邸の中庭は大いに凶し?!」でも触れました。高湿で四季の変化のある日本の気候は、住宅にとって好ましいものではないからです。大手の住宅メーカーは独自の実験施設を持ち、雨や風・雪などの気象や、暑さ・寒さによる熱変化に、より耐えうる建物の研究を続けていますが、北海道はこの生きたデータが得られる場所と、私は常々感じています。ですから、この住まいの先進地区を訪ねることは、家作りの観点から家相を捉える私には、学ぶところがたいへん多いのです。 そこで今回は、北海道の厳しい気候条件のもとで家作りをする建築家のみなさんの取り組みを、家相研究家の目からご紹介したいと思います。 1月の末に、北海道後志(しりべし)地区の建築士会での講演のため、虻田郡倶知安(くっちゃん)町を訪れました。この後志地区は、北海道でも1・2を争う深雪の地域。後志の建築家の皆さんは、その“多雪厳寒”の自然条件を大らかに受け止め、短い夏を満喫できる地域に合った住宅、「後志型住宅」の研究に取り組んでおられます。自然条件や地形といった地域の特性をつかみ、それをうまく取り入れ、またうまく防いだ住まいを作る。これはまさに風水学、家相学の基本思想です。毎年優れた住宅には、「しりべし住宅大賞」を授与するなど、地域の建築家が一丸となって取り組んでいる後志の家作りに、ぜひ私も身近に触れてみたいと思いました。 ![]() 倶知安の町並み ![]() 倶知安駅 もともと北海道には、「北方型住宅」という住宅金融公庫の地域基準があり、地域特性を鑑みた建物には、有利な融資条件が与えられていました。その北方型住宅を、さらに狭い地域に絞り、より特性を考慮して研究された住まいが「後志型住宅」です。 以前の記事、「屋根で運勢が変わる?!」でもご紹介しましたが、雪の多い地域では、屋根の雪下ろしは大変な作業です。年間積雪が20mを越えるこの地域では、できるかぎり自然に、安全に落雪できるように、屋根のデザインや傾斜角度、軒の出を考えなければなりませんし、落ちた雪が邪魔にならないように、敷地内に落雪をためておくスペースも考慮しなければなりません。 ガスボンベの交換やボイラーの給油時に、屋根の雪や氷柱(つらら)が落ちてケガをしないよう、ボンベやボイラーの設置場所を熟慮すること。雪が落ちるのを妨げたり、雪詰まりや雨漏れの原因になりやすいトップライト、煙突の施工を避けることも、多雪厳寒の地域特性を鑑みた家作りなのです。もちろん、前回の記事でご紹介した風除け室も、室内に寒気を取り込まない工夫として、基本設計に組み込まれています。 また、雪や寒さの対策ばかりではなく、短い夏を楽しく過ごす工夫も随所に盛り込まれています。羊蹄山やニセコ連山が望める方角に必ず窓を作ったり、テラスやサンルームなどを設け、自然を満喫できる暮らしを提案することも、後志型住宅の大切なコンセプトとなっているのです。 ![]() 北海道建築士会後志支部が研究する後志型住宅 *著作権上、南立面と1階平面のイメージのみ紹介します このように地域の特性を考慮することは、本来は家作りにおいて、一番大切なことなのです。しかし現実には、まずデザインありき、予算ありきで、地域の特性など後回しになっている家作りが多いことでしょう。家相についても同じです。たとえばこの後志地区は、主に北西から東南にかけて風が吹くため、東南側に屋根の雪が落ちやすかったり、氷柱ができやすかったりするのです。東南の玄関は家相上「大吉」ですが、落雪や落氷による事故を考えると、この方位に玄関を作ることはかえって「凶」となるおそれもあります。家作りに際しては、鬼門だの正中線だのという図面上の家相ではなく、風の強さや吹く方向、雨の多少などといった“生きた家相”が大切なのです。 ![]() 冬期は北西から風が吹くため 東南方向の屋根ひさしに雪の塊ができる 落雪などで死亡事故にいたる場合もある 今後も、住まいは北の国から進んでいくことでしょう。厳しい環境がさらに良いものを生んでいく、これはどんな世界でも言えることかもしれません。 |
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2005 家相研究家 小池康壽
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