裏鬼門とは |
物事には表があれば裏もあるように、鬼門にも「裏」があるのです。家相はもともと、中国の「陰陽説」と「五行説」から生まれたものですが、この「陰陽説」の思想は、物事や現象を何でも「陰と陽」の2つに分けて考えるというものです。例えば、「暑い・寒い」「男・女」、「表・裏」というように。ですから、北東の表鬼門に対して、その反対の南西の方角を裏鬼門という呼び方が存在します。![]() 鬼門のいわれが、諸説あることは、「鬼門とは」でお話しました。古代中国を匈奴(きょうど)が侵攻した、民族間の殺戮の歴史、陰陽五行説の相性、中国の古代書からの言い伝えなど、さまざまな説を先回お話しました。裏鬼門にも鬼門同様さまざまな諸説があります。では、南西の裏鬼門にはどんないわれがあるのでしょう。 まず、「自然災害」の影響があります。日本も中国も農耕民族です。その生活は、春に植えた作物を大切に育て、そして秋に収穫するという地道なものです。毎日こつこつ働いた結果が、収穫量として表れるのです。そしてそれは、自然を相手のたいへんな仕事でもあるのです。 ![]() 皆さんの中には、占いに興味を持つ方も多いでしょう。実は占いは、農作物の出来具合を予測するものとして始まったものでもあります。ですから多くの占いでは、発芽期・生長期・結実期など、稲穂の成長過程を人生に例えています。当時の人々は農業の豊作を占うために、太陽や雲、星や月、雨や風などの天体や自然を観察し、それをもとに暦を作ったり、自然災害を予測したりしたのです。全国の神社仏閣で行われる様々な行事も、その多くは農業や漁業の五穀豊穣、豊漁を祈るものなのです。 神に祈るほど収穫を楽しみにしていた農作物が、自然災害に襲われ全滅することは、当然のごとく許せないことだったのです。夏に北東から吹く冷気(やませ)も農作物に打撃を与えたことも北東の鬼門思想をより根付かせたといわれています。さまざまな農作物や人間の命を脅かした南西の裏鬼門の方向から来る台風や竜巻が、祖先が生きていくために大きな敵であったことは間違いありません。 ![]() 中国は大きな大陸であるがゆえに、吹きつけるモンスーン(季節風)、竜巻、偏西風などという自然災害の規模もけた違いです。また、日本も南西方向からやって来る台風、洪水で悩まされてきました。現代のような治水技術、気象技術もない時代です。我々の先人が、南西方向を裏鬼門として恐れた理由が当然ここにもあるでしょう。特に季節風などは、秒速80メートルに及ぶこともあり、農作物のみならず、家などの建物にも被害を及ぼしたのです。農作物を荒らし、建物を破壊する自然の脅威もまた、それこそ「鬼」のようであったのでしょう。 西暦600年前後の奈良時代に、日本に家相が伝わりました。南西と北東方向に伸びる日本列島では、自然災害はより顕著に南西から北東に進んでいきます。ここ最近の主な台風の進路を見ても、ほとんど南西から北東に移動しています。自然災害という、人間の力ではどうにもならないことだけに、表鬼門同様、裏鬼門もよりいっそう恐れられたのかもしれません。 ![]() また北東の鬼門と同じく、中国思想の陰陽五行説からも、裏鬼門と水回りの相性を凶と判断していることから、水回りや玄関などを恐れる考え方も言い伝えられました。 お話すれば、きりがないほどの諸説が裏鬼門にもあるのですが、科学が発達した現代では、すべてそれらは迷信であるといえます。しかし、だからといって、鬼門でもお話しましたが、裏鬼門は家づくりに関係ない、気にする必要はまったくないと、安直には考えないでほしいのです。私は、住まいづくり、住まい選びの観点から見た裏鬼門とは、南西という場所の特性を大いに気にしていただきたいとアドバイスしています。 「マンションにはマンションの家相がある」でもお話しましたが、水産市場や大きなビルでは、場所や方位によって、暑さ寒さの影響がより大きく出るのです。たとえば、オフィス内で窓際の西日が当たる場所だけが、異常に暑い場所、夏場は仕事に支障が出るような経験は誰もがなさると思います。このように、方位や場所には、吉だの凶だのといった迷信的な意味合いだけではなく、それぞれ特徴、特性があるのです。ですから、「鬼門には鬼や邪悪なものがいる」などという考えや、「中国思想に基づいた鬼門説」などは、迷信として一蹴すればよいと思いますが、太陽の恩恵を大きく受け過ぎてしまう場所としての南西(裏鬼門)は、大いに気にしてほしいのです。 ![]() この暑い場所に、トイレ、台所、があるとどうなるか。 下記の記事をお読みいただければ、裏鬼門の真の特徴である暑さの影響がお分かりいただけると思います。そして、住まいづくりにおいて、本当に注意すべきことは何なのかも、おわかりいただけることでしょう。先人はそんな思いを、「裏鬼門」に込めていると私は考えています。災いという恐ろしい表現をしていますが、よい家に住んでほしいと願っているやさしい思いでもあるのです。 裏鬼門の台所 裏鬼門のトイレ 南西のマンションは大凶なり 大吉と考えた台所が凶なり 住まいは夏を旨とすべし どうですか? 参考になりましたでしょうか? 家相書には、「未申に、天窓を作るは、大凶なり。」と書かれています。先人は南西の方向に大きな開口部をつくることに注意を与えています。小池康壽の家相学では、「裏鬼門、迷信的な方位は気にするべからず。されども、陽もっとも強き場所として、台所、特に注意すべし。体弱き御年寄り子供部屋に注意すべし。裏鬼門侮ることなかれ。」と申しておきましょう。 やませ【山背】 夏季に北日本の太平洋側、特に三陸地方に吹く冷湿な北東風。オホーツク海高気圧から吹き出す風で、長く続くと冷害の原因となる。 国語大辞典(新装版)小学館 1988 【季節風】 季節によって吹き方の異なる風。冬季には大陸から海洋に、夏季には海洋から大陸に向かって吹く。海洋と大陸との気温差が原因の一つ。東アジア、インドなどで著しい。モンスーン。 国語大辞典(新装版)小学館 1988 【偏西風】 極を中心にして北緯約20度から60度の範囲の上空を西から東に向かって帯状に吹く風が偏西風。偏西風は北半球では冬に最も強く平均風速が秒速80メートルで、北緯25度付近まで南下し、夏は北緯50度付近まで北上して風速は弱まる。 朝日知恵蔵より |
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2005 家相研究家 小池康壽