鬼門とは

「鬼門」。住まいを建てる人、住まいを購入する人、そしてそれに携わるプロの側でさえも、この2文字に翻弄されてしまうことがどれだけ多いことでしょう。



占いは気にならない、鬼門なんてまったく関知しないという人であっても、いざ住まいづくり、住まい選びとなると、親や兄弟をはじめ周囲の人間が、「鬼門に水回りがないか」、「玄関がないか」と気にして騒ぎたてられたり、入居して何年もたってから、鬼門に水回りがあるなどと人に言われて、気になってしまうことも少なくありません。

では、なぜ人は鬼門を気にするのか? 鬼門とはいったい何なのか?
今回は、家づくりの際に鬼門をどう考えたらよいか、私がお話したいと思います。まずは、鬼門の意味からお話しすることにしましょう。

物事に表と裏があるように、鬼門にも表鬼門(北東)と裏鬼門(南西)があります。今回は、北東の表鬼門についてお話していきたいと思います。鬼門は「災いが訪れる方角」として、昔から家を建てる際に「水回りをつくるな、玄関をつくるな」と言われ続けてきた方角です。でも、なぜ北東なのでしょう? そして、そもそも災いとは何なのでしょう?

鬼門に関しては、さまざまな諸説があります。たとえば、歴史的事実もその一説です。古代、中国を「匈奴(きょうど)」という遊牧騎馬民族が幾度となく襲ってきました。彼らは残忍極まりない騎馬部族であり、家畜の糞尿のたれるまま移動したと言われています。



当時、中国から見た北東の方角に、この匈奴は暮らしていましたが、その地は乾燥が激しく、セルロース質の多い雑草しか生えない土地でした。家畜が唯一の生活基盤であった彼らは、農耕豊かな中国へと長年襲いかかっていたのです。匈奴が攻め入ってきた方角、それが中国から見て「北東」の方角だったことから、古代中国の人々は、北東の方角を恐れるようになっていったのです。鬼や龍が来るわけではなく、人間が攻めてきたことも鬼門のいわれの一説でもあるのです。



歴史の教科書には必ず載っている「万里の長城」の写真、みなさんも見られたことがあると思います。実際に行かれた方もいるかもしれませんね。高さ5メートル、長さは延べ2800キロ、途切れ途切れを合わせると、日本列島より長い4000キロとも6000キロとも言われている世界最大の建造物であり、世界遺産でもあります。この万里の長城が、匈奴から身を守るために造られたものであることをご存知でしたか?今よりはるか昔の時代に、あんなに壮大な建造物を造るほど、当時の中国の人々は匈奴を、そして「北東の鬼門の方角」を恐れたのです。現代の人間が鬼門を恐れている理由など、根拠もない生半可なものともいえるでしょう。

そして、日本に家相が伝わったのは、西暦600年前後の奈良時代でした。日本列島の形はといえば、北東から南西へ、まさに鬼門から裏鬼門へと伸びる形であります。戦などの争いごと、疫病や災害なども、当然多くは日本列島の地形どおり、北東と南西の方向へ動いていったことから、中国と同じように鬼門という方向を自然に忌み嫌っていったのだと考えられます。

北東が鬼門と言われるようになった理由、また災いとは、実は史実から言われるようになったものでもあるということ、おわかりいただけたと思います。何千年と伝わってきた家相や鬼門ですから、そのほかにも、古代中国の書物『山海経』にある物語を元とした説など、鬼門には様々な諸説・解釈・考え方があります。

また、中国思想の陰陽五行説から、北東を丑寅の方角として、鬼がいる方角とする考えもあります。その陰陽五行説では、この場所と水回りの相性を凶と判断していることから、水回りを異常に恐れる考えに結びついてきたものとも考えられます。



お話すれば、きりがないほどの諸説があるのですが、科学が発達した現代では、すべてそれらは迷信であるといえます。しかし、だからといって、鬼門は家づくりに関係ない、気にする必要はまったくないと、安直には考えないでほしいのです。私は、住まいづくり、住まい選びの観点から見た鬼門とは、北東という場所の特性を大いに気にしていただきたいとアドバイスしています。

「マンションにはマンションの家相がある」
でもお話しましたが、水産市場や大きなビルでは、場所や方位によって、暑さ寒さの影響がより大きく出るのです。たとえば、雪が降った後、南側の雪はすぐに解けてなくなるのに、建物の北側には、長い間雪が解けずに残っていますよね。このように、方位や場所には、吉だの凶だのといった迷信的な意味合いだけではなく、それぞれ特徴、特性があるのです。

ですから、「鬼門には鬼や邪悪なものがいる」などという考えや、「中国の歴史上の史実」、「日本列島の土地形状から見た考え方」や「中国思想に基づいた鬼門説」などは、迷信として一蹴すればよいと思いますが、太陽の恩恵を受けない場所、日陰の寒い場所、寒い北風を受ける場所としての北東(鬼門)は、大いに気にしてほしいのです。



この日陰の寒い場所に、お風呂やトイレ、台所があるとどうなるか。
下記の記事をお読みいただければ、鬼門の真の特徴である寒さの影響がお分かりいただけると思います。そして、住まいづくりにおいて、本当に注意すべきことは何なのかも、おわかりいただけることでしょう。先人はそんな思いを、「鬼門」の2文字に込めていると私は考えています。災いという恐ろしい表現をしていますが、よい家に住んでほしいと願っているやさしい思いでもあるのです。

鬼門の玄関
鬼門のトイレ
鬼門の台所
鬼門の風呂


どうですか? 参考になりましたでしょうか?

小池康壽の家相学では、「鬼門、迷信的な方位は気にするべからず。されども、陰極まり陽に転ず場所として、太陽の方位の影響は現代でもしっかり家づくりに取り入れるべし。鬼門侮ることなかれ」と申しておきましょう。


このサイトをご利用いただく際の、著作権に関するお願いがございます。
(C)copyright 2005 家相研究家 小池康壽