鬼門の台所対策法

家相の古書には、「竈(かまど)北向きにつくるは、物事損失多し。又病難をつかさどる、婦人経水病を発すべし」という記述があります。以前にもお話したように「竈」とは台所のこと。つまり、「台所を北の方角につくることは、物事の損失あり、病難ありの大凶相」という意味なのです。しかも、その病難というのが「婦人病」。台所は女性が使う場所だけに、北の方角の台所は、家相学ではずいぶんと嫌われてきました。

もともと台所という場所は、家相学では何かと云々いわれる場所であります。「竈が二つある家は凶?」でも触れましたが、台所は人の命を養う食物を作る場所であり、日常的に火を使う場所でもあります。それゆえ、食中毒や火災などの“災い”が起きることが恐れられたのです。西日で物が腐りやすく、また風上のため、万一出火したら全焼しやすかった南西の台所が「大凶」とされてきたのは、その代表的なものといえるでしょう。

北側の台所もまた、「寒さ」や「冷え」が災いする場所と考えられてきたのです。冬の寒い時季、それも早朝の台所の寒さは半端ではありません。特に昔の台所は土間でしたから、朝早くから台所に立つ女性にとって、足元の冷えは、それは辛いものだったと思います。女性の身体に「冷え」は大敵。北側の台所が家相学上「大凶」とされてきたのは、早朝から水仕事をする一家の主婦の健康を心配してのことなのです。

しかし、家相学上「大凶」といわれてはきたものの、現実には、台所は家の北側につくられることがほとんどです。南や東といった日当たりのよい場所は、リビングの定位置。台所はどうしても、北側にまわされてしまいがちです。現代は住宅の性能がよくなったとはいっても、冬の朝一番の台所は、やはりかなり冷えるものです。また、以前の記事「お風呂は何処にあっても大凶?」でお話したように、現代の高性能な住宅ゆえ、暖房をかけていた寝室と、早朝の台所との温度差が大きくなることもあるのです。

この部屋間の温度差も、女性の体に負担をかけてしまうものです。家庭用の簡易的な血圧計ではありますが、私自身が早朝の寒い台所で血圧を測定してみると、暖かい部屋で測ったときに比べ、15mmhgほどの変動が見られました。高齢であったり、体が疲れていたりすると、台所の寒さや部屋間の温度差は、女性の健康を脅かしかねないのです。

奥さんやお母さんには、いつも元気でいてもらいたいもの。そこで私は、家づくりの際には、寒い台所を「吉」にする“あるアイテム”をおすすめしたいと思います。それは、システムキッチンの足元に埋め込む「足元温風ヒーター」です。「なぁ〜んだ」と思われた方も多いのでは? わざわざキッチンに埋め込まなくても、暖房器具ならいろいろありますからね。

ガスストーブや灯油ストーブ、オイルヒーターなどなど、さまざまな暖房器具がありますが、台所の暖房には、私はこの埋め込み式の温風ヒーターをイチオシ!します。この温風ヒーター、わかりやすくいえば、ヘヤドライヤーがキッチンの足元に付いたようなもので、冷える足先を効率よく暖めてくれます。また、一番のおすすめの理由は、何より安全なことです。ガスや灯油のストーブでは空気を汚しますし、それでなくても物が多い台所空間を、より狭くしてしまいます。それに何より、台所仕事の慌ただしさから、ついうっかり転倒させてしまう心配もありますよね。

また、最近よく使われるようになった台所用のホットカーペットも便利な物ですが、温まるまでに少々時間がかかることと、多少の厚みがあって床に段差ができるため、包丁や熱湯の入った鍋などを持っているときには、つまずかないよう注意が必要です。床暖房も、足元から暖めることができる点、安全な暖房という点ではおすすめですが、施工費やランニングコストを考えると、足元温風ヒーターのほうが効率的といえるでしょう。


さらにもう一箇所、この足元温風ヒーターを取り付けると、「吉」となる場所があります。それは洗面所です。洗面所も、朝早くから家族みんなが使う場所、やはり冬の寒さは身に染みます。また、衣類やタオルなどに火が燃え移る危険性もあり、暖房器具の熱源にも注意が必要な場所です。ここでも、足元温風ヒーターが活躍してくれることと思います。家づくりの際にはぜひ、キッチンと合わせて、洗面台の足元温風ヒーターも検討してみてください。

健康運向上アイテムである足元温風ヒーターも、まだまだ装着率は低いようです。後付けできないのが残念ですが、家を建てたりリフォームをしたりする際は、ぜひ、この大吉のアイテムをビルトインしてみてください。奥さんのためにも、そしてご主人のためにも。最近は台所に立つ男性陣も多いようですからね。かくいう私も、その一人ですが…。


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