謙虚を勘違いするべからず |
| 私は鑑定に訪れる方に対して、時としてお客様にもかかわらず「お説教」をすることがあります。それは、とんでもない間取り図面を持ってみえるからではありません。「謙虚さ」というものを勘違いされているからです。 「謙虚も度を越えると嫌味になる」などといわれますが、本来は美徳である謙虚も、家づくりにおいては時として嫌味になってしまう、そしてそれが、ことさら家相を気にする原因になってしまうこともあるというお話を、今回はさせていただきましょう。 ![]() 家づくりに際して、家相を気にする理由はさまざまにあります。その中で多いのが、「人に言われて気にするようになった」というケース。家づくりとなると、親や兄弟をはじめ、会社の同僚や友人、はたまた近所の人までが口を出してくることもありますからね。 純粋な意味でのありがたいアドバイスも当然ありますが、ねたみ、やっかみからの意見も少なくないのが家づくり。そんなねたみ、やっかみがもとで、家づくりに大きな不安や精神的な負担を抱えてしまうケースも意外に多いのです。そして、そのねたみ、やっかみを招く一因に、「謙虚」というキーワードが大きく影響しているのです。 一例をお話しいたしましょう。同級生同士で結婚した20代の夫婦。2人の子宝にも恵まれ、今回都内で一戸建てを購入するに際して、家相に悩み相談におみえになりました。 悩んだきっかけをよくよく聞いてみると、同級生たちとの飲み会に夫婦で参加し、家を購入することを話したところ、家相や風水は良いのかという話になったとのこと。偶然持っていた図面を皆に見せたところ、鬼門にトイレや玄関があることを指摘され、家相が悪いと言われたというのです。 早速占い師に見てもらいに行ったところ、やはり「大凶で災いを招く家。3年以内に主人が死ぬ」といわれ、年回りや方角まで持ち出されて「家を買うこと自体中止せよ」といわれたのだそうです。それ以来、家づくりが憂鬱になり、ストレスも限界と感じ私のところにおみえになったというわけです。 ![]() 人から家相や鬼門を指摘され、相談におみえになる方は意外に多いのです。そんな方に、私はいつもこうお話します。「よき伴侶と子宝に恵まれ、立派な住まいも持つことができて幸せですね」。すると、ほとんどの方が、「たいしたことありません。小さな家ですから」と謙虚にお答えされます。この若いご夫婦にも、「その若さで、よき伴侶と子供さん、そして家まで持つことができるなんてすごいですね、幸せなことですね」とお話したところ、やはり答えは同じでした。 そこで、「先の同級生との飲み会のときに、今私が言ったことと同じようなことを、皆からいわれませんでしたか?」と聞いてみました。すると、夫婦で顔を見合わせて「そういえば言われた」といわれます。 「幸せ」というものは人それぞれに違います。何を持って「幸せ」とするか、難しい問題でもあるでしょう。しかし私は、結婚し子供に恵まれ、大きかろうが小さかろうが自分の家を持つということは、人として最高の幸せだと考えています。 ![]() 以前の記事、「現代に厄年はない」 でもお話をしましたが、昨今は30代の男性、女性とも半数前後の方が未婚で、離婚率も急激な増加となっています。そして出生率もどんどん低下しているのが現状です。持ち家の割合も、全国的に見れば約60%、東京都内では40%前後なのです。先ほども申し上げましたが、幸せに基準はありません。しかし、どう転んでも、結婚し子宝に恵まれ、持ち家が持てることが幸せでないわけはないのです。たとえそれが小さな家であっても、すばらしいことではないでしょうか。 この若いご夫婦も、飲み会の席で皆に家を買うことを祝福され、謙虚に「たいしたことはない、小さな家だ」と答えたつもりが、聞く人には嫌味にとられてしまったのだと思います。20代といえば、同級生の中でもまだ既婚者は少ないでしょうし、家を持つのも、このご夫婦が第1号でしょう。周囲の目には、誰よりも幸せのレールを歩んでいると映って当然です。そういう「幸せな人」から、「自分たちはたいしたことはない」といわれたら、嫉妬やねたみを感じてしまうのもまた人情なのです。 「謙虚も度を越えると嫌味になる」。私は鑑定でおみえになる方に、時間があればこの話をさせていただきますが、多くの方が思い当たることがあるようです。決して嫌味で言っているわけではないのですが、本人が気付くことなく、人には嫌味な行為と受け取られてしまっているのです。家づくりを機に、会社の同僚との関係がこじれたとか、社宅の主婦仲間から孤立してしまったとか、鑑定の際にもよくお聞きする話です。 「では、どんなふうに受け答えをしたらよいのでしょうか?」と、皆さん私に質問されます。「ありがとうございます。今後もがんばります」、こう答えればいいのですよと、私はアドバイスしています。結婚して夫婦仲良く暮らすことも、子育てをすることも、ローンの重圧と戦いながら家づくりに臨むことも大変なことなのです。そしてそれは、今まで頑張ってきた結果でもあるのです。 ![]() そして今後も、ますます頑張っていかねばならないでしょう。ローンを背負い、家族を養い、さまざまな負担を抱えて家庭を維持していくのですから、ただ闇雲に謙虚になる必要はないのです。胸を張って、自信を持って進んでいくべきであると私は思うのです。 小池康壽の家相では、「謙虚も度を越えると嫌味になる。家づくりに臨むとき、胸を張り自信を持って、時として傲慢に乗り切ってほしいと願うなり。その上で真の謙虚な心を持つなり」と申しておきましょう。 |