建築基準法は、国民の健康と安全を願うことが骨子であります。しかし、家相研究家の私からこの法律を見れば、最低限守らねばならないルールであるだけで、法律を守って家を建てたからといって、安全で健康的な生活が保障される住まいにはなりません。
では、一例をお話しましょう。下記のコンピューターグラフィックスをご覧ください。ご覧いただければわかるでしょうが、とても急勾配な階段です。
実はこの階段は、角度約57度をイメージした階段なのです。誰が見ても怖いですよね。それこそお年寄りや子供たちは命がけで上り下りをしなくてはならないでしょう。階段は「地獄の一丁目」で解説したように、階段では、年間多くの方が転倒し、死亡や大怪我をなさる方がいる恐ろしい場所でもあるのです。
そんな、危険な場所でもある階段がこのような急勾配であれば、誰がみても大凶ですよね。当然誰もが、このような階段設計を法律(建築基準法)は許可しないと思われるでしょう。しかし、驚かれるでしょうが建築基準法はこの階段を基本的には許可してしまいます。建築基準法に定められている階段の条件は、蹴上げ23センチ以下、踏み面15センチ以上だからです。ちょうど、この条件の勾配の階段をコンピューターグラフィックスでイメージしたのです
法律で認められているわけですから、私のところに家相鑑定にお越しになる方の中でも、現実このような急勾配の階段を、設計されてしまう方も意外に多いのです。コンピューターグラフィックスで階段を見せてさしあげて、はじめて急な階段、危険な階段であることを認識できたと言われます。業者からは角度などの条件は伝えられていないケースが多いのです。
図面を平面上で見ても一般の方では、それが急な階段か、危険な階段か判断ができないでしょう。ましてや、プロの設計者が描いた図面ですからね。問題ない安全だと、油断してしまうのは已むを得ないでしょう。特に、狭小地の3階建ての場合、またトイレを階段下に作る場合など、面積を無駄にしないコンパクトな階段を設計していただいたと喜んでいる方がほとんどです。しかし、命にかかわる危険な階段であると、私に指摘されれば、驚かれると同時に、ほとんどの方が部屋を狭くしても図面を安全な方向に変更されます。部屋のスペースよりも、誰もが家族の命のほうが大切ですからね。
トステム株式会社 画像資料提供
階段は、極力緩やかな設計が当然吉となります。ではどのくらいの角度にすればいいか、理想は、37度以下と考えてください。また形状も、「3段回りの階段は凶」 でもお話をしたように、U型階段やL型階段を利用することもより安全になります。自然光を取り入れる工夫(筋交いなどがあっても取り付けやすい小型の窓もある)や、階段専用の照明器具の利用なども安全な階段を作るために望ましいことですね。

トステム株式会社 画像資料提供
上部で3段回る階段が、どれだけ転倒事故を誘発しやすいか、住宅メーカーや設計者は知っています。しかし現実は、日本の全住宅メーカーの中で、勾配のきつい階段や上部3段回りの階段を使用禁止にしているメーカーは、数社に過ぎません。なぜなら、危険だと知っていても設計の自由度を失いたくないからです。急勾配の階段や上部で3段回る階段を使用すると床面積が小さくでき、見積もりを安く提案できることも一因です。全国から訪れる図面を見て安全を軽視した、日本の家作りの現状をいつも目の当たりにしています。
安全な家作りは、担当する営業マン、担当する設計者の安全への配慮、やさしさできまります。それらを図面に盛り込むことができる人を選ぶことが大吉の住まい作りの近道でもあるのです。
建築基準法があるから、プロに任せておけば安全な住まいになる。そんな過信は禁物なのです。しかし、安全を無視した設計者やメーカーもいる中で、安全を重視した設計者やメーカーは、14段で上る階段が多い中、17段、18段の超緩やかな階段(33度前後)を一般住宅で設計する動きも出てきました。
階段を無駄な面積と考える設計者か、階段こそ面積をたっぷりと確保し安全にすることが大切と考える設計者と出会うか、住まいの方向性はすべてにおいて大きく変わることでしょう。
小池康壽の現代家相学では、「階段こそ面積を広く確保して、緩やかな角度にすることが大吉の住まいである」と言い切っておきましょう。建築基準法を守るだけでは大吉の住まいではないのですから。
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