「色」で大吉の家づくり!

皆さんは、カーテンなどの部屋のインテリアの色をどのように選ばれますか?「自分の好きな色」、「部屋の雰囲気に合わせて」という方が多いと思いますが、風水の本などに書かれた“ラッキーカラー”で選ぶという方も少なくありません。

             

私のところへ寄せられる家相の相談の中にも、部屋の内装やインテリアの色に関するものがよくあります。「リビングのカーテンは何色がよいですか?」「子供部屋の内装によい色は何ですか?」といったものですが、「西には黄色がよいというのは本当ですか?」という質問も時々あります。「金運を上げるには西に黄色」という考えが定着しているようで、西側に黄色のカーテンや小物を飾ることが、よい家づくりであると思っている方も多いようです。なぜ“西に黄色”なのかはさておき、それが本当に金運を上げる術であるかどうかといえば、あくまでも迷信に過ぎません。黄色のカーテンをかけたり、黄色の財布を持ったりすれば金運がよくなるのであれば、誰も苦労はしませんし、景気低迷とか不況などとは無縁の日本社会であることでしょう。ではなぜ、「西に黄色=金運アップ」と言われるのか、参考までに、ここで少しお話しておきましょう。

「家相の“正体”」でご紹介した中国の「陰陽五行説」が、この考え方のもとになっています。五行(木・火・土・金・水)には、それぞれ色や方角、季節などが配されましたが、そのうちの「金」には、中国から見て「西」の方角が充てられました。西の方角は豊かな地とイメージされ、「金」の季節である「秋」とともに、裕福で実り多い方角、それが「西」と考えられてきたのです。

また、五行の思想には、五行(木・火・土・金・水)それぞれの関係を表す「相生(生み出す考え)=相性の良い関係」、「相剋(打ち消す考え)=相性の悪い関係」の2つの考え方があり、それが現在の占いのもとになっていることもお話しました。その「相生」の考えでは、「土は金属(お金)を生み出す」とされています。五行では土の象意の色は黄色。つまり、「西の方角 → 五行の金 → 金は土から生まれる → 土の色は黄色」ということで、西の方角に黄色を使うと金運がよくなるという解釈が生まれてくるのです。「西に黄色」は中国思想がもとになった考えであり、科学的に根拠がある話かというと、残念ながらそうではありません。

もちろん、「当たるも八卦(はっけ)、当たらぬも八卦(はっけ)」の占いとして、これらの色使いを楽しむことはよいでしょう。幸せになることや、金運がよくなることに願いをこめ、縁起をかつぐことは決して悪いことではありません。しかし色には、占いや縁起といった不確かなものではなく、心理的、生理的、あるいは物理的に、人間に作用する力があるのです。それを適材適所に用いることが、現代家相学でいう“ラッキーカラー”なのだと、私は考えています。

前置きが長くなりましたが、本来のお話に戻りましょう。部屋の内装やインテリアの色を変えると、その部屋の印象が大きく変わることは、皆さんも経験されたことがあると思います。しかし、この時変わるのは、実は見た目の印象だけではありません。部屋の温度とか広さ、居心地、仕事のしやすさなども、使う色によって、感じ方が大きく変わってくるのです。

ここで、主な色が持つ作用について、少しご紹介しておきましょう。まずは、代表的な「赤」と「青」。赤は人間を興奮させる色です。そして、体感温度を高く感じさせ、部屋を狭く見せてしまいます。また青は、人間を冷静にさせ、体感温度を低く感じさせます。青は赤とは逆に、部屋を広く感じさせる色です。

赤と青については、その作用がよく対比されます。テレビ番組などでもよく実験されていますが、同じ環境、同じ条件で、内装が赤の部屋と青の部屋を使って作業能力の検査を行うと、明らかに青の部屋のほうが、作業能力が高いという結果が出ることが多いのです。赤の部屋の場合、気持ちが高ぶってしまったり、体が暑く感じたりして、冷静に作業に集中することができないケースが多いのです。


この、赤・青それぞれが持つ作用を利用した例として、たとえば、空港の待合室があげられます。待合室のシートの色には青が用いられることが多いのですが、これは搭乗前の高ぶる気持ちを抑えるという、精神心理学上からの配慮だといわれています。また、アメリカの学生フットボールの試合場の控え室では、ホームチームは赤の内装、相手チームは青の内装にすることで、よりホームグラウンドでの勝率を高めたという過去の戦略的事例もあります。これは、赤が持つ興奮作用で、選手の闘争心を高めた例といえるでしょう。おもしろいところでは、会議室に青ではなく、赤を取り入れたケースもあるのです。より活発に意見交換を行いたいというのが、その狙いだったそうですが。



また「緑」には、人間の心身を落ち着かせ、安らぎを与える効果があるといわれています。目が疲れた時や仕事の合間に、木々の緑を見るとよいとはよくいわれることですが、さまざまな医療の場でも、この緑色が取り入れられています。ガン患者の痛み軽減に、緑の景色が効果があること、緑色の内装を施した部屋が、産後の母乳の出を安定させる効果があることなども、実験が行われ効果のある事が発表されています。内装の色使いは、人間の体にも影響を与えているのです。


「ベージュ」もまた、安らぎや安心感を与えてくれる色です。日本家屋の柱の色、土壁の色、そして畳の色であるベージュは、日本人が最も好む色だともいわれており、脈拍や血圧を安定させるなどの効果も持つといわれています。

では、西に黄色の「黄色」はどうでしょうか。黄色は人間の気持ちを明るく、幸せに感じさせてくれる色です。私も黄色という色が好きです。本来が明るく幸せな色なのですから、西でなくても、どこに使っても、幸福感や成功感を感じさせてくれる色なのです。

このように、色には人間に与える心理的な作用、生理的な作用、そして物理的な作用があります。これらを利用して、疲労の防止、作業効率の向上、事故や災害の防止に役立てることを「色彩調節(カラーコンディショニング)」といいますが、健康で安全、かつ快適な住まいづくりを願う家相学にとって、色はまさに重要なアイテムなのです。

たとえば、表鬼門の北東の部屋には、暖かさを感じさせてくれる暖色系がおすすめです。以前の記事「大吉のお風呂を作る!」でも触れましたが、冬の寒さがネックとなる表鬼門のお風呂や洗面所、トイレなどには、淡い暖色系の内装や小物を使うと、視覚から暖かさを感じられます。逆に、夏の暑さに注意したい裏鬼門の南西や西側の部屋には、涼しげな寒色系の色を使うとよいでしょう。西だからといって黄色を使うと、かえって暑く感じてしまうことになり兼ねません。


書斎や仕事部屋には、効率が上がる青系や、疲れを和らげてくれる緑系のカーテン、ブラインドなどを使うとよいでしょうし、子供室もカラフルな色使いより、優しいベージュ系を使ってみるのもよいと思います。あの愛子様のお部屋も、内装はベージュ系を基調にされています。受験期を迎えたら、カーテンや小物に青、緑などを足してあげてもよいですね。リビングも、家族が安らげるような色使いがベストでしょう。ベージュ、緑の淡い色などが、落ち着きや安らぎを感じさせ、部屋を広く見せる効果もあります。

もちろん、自分の好きな色を使うことも間違いではありません。よく使う色、見ていて落ち着く色は誰にもあると思います。それが、私たちによい作用を与えてくれる色であれば、それこそ大吉の色使いといえるでしょう。

「色」も住まいを構成する大切な要素のひとつです。色が持つこれらの力を、ぜひ、住まいづくりに効果的に取り入れて「大吉」の家作りをしてください。


しきさいちょうせつ【色彩調節】 
色彩が人間に与える心理的・生理的・物理的作用を積極的に利用して、疲労防止、能率向上、災害防止などに役立つように、適当な色を選んで用いること。色彩管理。カラーコンディショニング。
国語大辞典(新装版)小学館 1988

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