家づくりはいつでも大凶だ |
家づくりの際、家相と同じく気になるものに、「年回り」や「方位」があります。年回りとは、その年の運勢の良し悪し。方位とは、その人の生まれ年から見た吉の方位・凶の方位をいうものです。「今年は、家を新築してもよい年でしょうか?」「この土地は移転してもよい方角ですか?」といった相談もよくあるのですが、私は、年回りや移転の方位は見ないことにしています。なぜなら、家づくりには「よい年・よい方位」などないからです。ですから、先ほどのような相談にも、私はこうお答えしているのです。「家はいつ建てても大凶、どこへ移転しても大凶ですよ」。これは、私の今までの実体験からも言えることなのです。プロフィールにもあるように、私は元住宅の営業マンでした。木造やプレハブの注文住宅の販売を数多く担当してきましたし、自らも住宅金融公庫の借り入れをし、3回の家づくり、オフィスとして都心のマンション購入も4回の体験をしてきました。それら多くの経験から、家づくりや引越しは、いつでも、どこでも大凶であると言いきれるのです。でも、誤解しないでくださいね。いつでも、どこでも大凶だからといって、家づくりをするなと言っているわけではありません。これから、私が言いたいことを、じっくりお話してまいりましょう。 私は経験上、家づくりをする方の、多くの人生を見させていただきました。そして自らの実体験からも、家を建てるということは、とにかく大変なことなのだとも実感しています。建替えの場合は、永年住んだ家を離れ、一時的ではあるものの仮住まいに移らなければなりません。慣れない仮住まいの台所やお風呂で大ケガをした方もいました。また新築の場合も、遠くの建築現場へ足を運ぶうちに、過労で倒れてしまった奥さんもいました。
新居を楽しみにしていたおばあさんが、完成直後に亡くなってしまったり、慣れない新居への帰り道で、子供さんが交通事故に遭ったりしたこともありました。年回りや方角も、それなりに見てもらっていた方ばかりです。よい年回りだから、方角も悪くないからと家づくりを行った結果、このようなアクシデントに見舞われた方も数多く見てきました。 家づくりや新居への引越しは、身体的にも精神的にも、想像以上に大きな負担がかかるものです。ですから私は、家づくりはいつでも大凶であると考え、慎重に注意深く取り組んでほしいと思うのです。よい年回りだから、よい方角だからと、有頂天になってしまったり、慌ててことを進めたりすることが、本当は一番怖いことなのです。 年回りのよい内に入居したいからと、完成を慌てさせたり、子供さんの新学期に合わせて、過密なスケジュールで引越しをしたり、人生において一番大きなイベントでありながら、余裕を持って家づくりに臨むケースは非常に少ないのです。 占いの起源は、太陽や星の動きから季節や暦を正確に読み取り、農作物の豊作を願ったことから始まったとも言われます。現在でも占いの多くは、人の運勢を稲穂の成長にたとえています。家を新築・購入したり、またマンションを購入したりする時期は、家庭も円満、仕事も順調なはずです。稲穂の成長でいえば「実りの秋」、今まさに収穫の時を迎えんとしている時期でしょう。 「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」という句があります。実りを迎えた稲穂がうつむく様子から、おごり高ぶらず、いつでも謙虚でいることのたとえにも使われる句ですが、稲穂がこうべを垂れるのは、実って重くなった自分を、一生懸命支えているからです。また、実りの秋は台風のシーズン、自然災害のほか、鳥などの外敵からもねらわれやすいのです。人生も同じで、絶頂期である家づくりの時期は、大きな喜びの裏に、計り知れない身体的・精神的負担が隠れているものなのです。 ![]() 方位もまた、「方位家の家つぶし」のことわざのように、方位の良し悪しにこだわり過ぎると、結局は後悔してしまうようなことにもなり兼ねません。こだわるべきは、方角より「住環境」です。 先人の教えにはこのような言葉があります。「中庸(ちゅうよう)をもって旨とすべし」。中庸というのは、良くも悪くもないほどほどの状態、つまりバランスのとれた状態のことです。良いときこそ、浮かれずに気をつける。悪いときはより気をつけて、少しでも良いほうへ近づける。大きなことに立ち向かうときは、慌てず余裕を持って行動しなさいと、教えてくれているのです。そうした心構えさえあれば、“家はいつ建てても大吉、どこへ移転しても大吉”になれるとアドバイスしています。 *方位家の家つぶし 何をするにも方角のよし悪しにこだわったりしすぎると、身動きできなくなったりして、結局家をつぶすことになるの意。 |