台所のエアコンは凶!? |
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「未申(ひつじさる)に厨(くりや)あるは、至って凶なり」。家相では古くからいわれている言葉です。未申とは南西、厨とは台所のこと。みなさん、もうおわかりですよね。そう、「南西に台所をつくるのは大凶」という意味の言葉です。これは、家相の“ホント”の部分、現代でも、南西の台所には注意が必要なのです。 その理由は、「妻に殺される・2002」でもお話した西日による暑さ。折しも夏真っ只中、夏の西日の暑さは、みなさんもご存知のことでしょう。夏の強い西日は、南西の台所の室温を上昇させ、食材の傷みや雑菌の繁殖を早めます。それがもとで、食中毒を起こしやすかったり、主婦の体に負担がかかったりと、家族の健康を脅かす恐れがあることが、現代でも「大凶」といわれる所以なのです。 「でも、現代には冷蔵庫もエアコンもあるじゃない!」と思われる方も多いはず。確かに、現代にはさまざまな“文明の利器”があり、それらは、家相上の凶事を改善してくれる力強い味方です。しかし、それらを過信したり、使い方を間違ったりすると、良かれと思う対策方法が、かえって不幸を招いてしまうことにもなり兼ねません。今回は、そんなケースをお話したいと思います。そのケースとは、台所にエアコンを取り付けること。
鑑定の際にもよく目にするのですが、南西に台所を配置した間取りは意外に多いものです。もっとも、敷地や周辺の状況から、それほど西日の心配がない場合もありますが、中にはまともに西日を受けてしまうような台所も少なくありません。このような間取りを鑑定し、夏の台所の暑さを指摘すると、多くのお施主さんは「エアコンを付けるつもりなので問題はないと思った」と言われます。確かに、エアコンは暑さを解消するには持って来いの設備機器ですが、実はこの対策には、厄介な問題が発生する恐れがあるのです。 その厄介な問題とは「カビ」です。「妻に殺される・2002」でも少し触れましたが、台所は家の中でもカビが生えやすい環境なのです。カビが生えやすいという点では、湿気の多い浴室や洗面所も同じです。しかし台所は、浴室のように塩素漂白剤で壁全体を洗浄することはできませんし、浴室衣類乾燥機で丸ごと乾かしてしまうこともできません。ですから、カビが生えやすいという環境では、むしろ台所のほうが、注意を要する場所ともいえるのです。ましてや台所は、調理や食糧の備蓄をする場所。カビが生えやすいという環境は、食中毒やアレルギー症の原因となり、人間の健康的な生活を脅かすことにもなり兼ねません。 そして、エアコンもまた、カビの住みかとなりやすい場所のひとつなのです。エアコンはどちらかというと、クリーンなイメージのある設備機器です。暖房時も、一酸化炭素や二酸化炭素を発生させるわけではなく、石油ストーブやガスストーブに比べると、空気を汚さないという長所があります。しかし、ここに大きな落とし穴があるのです。エアコンはあくまでも室内の空気を循環させているだけで、室外から新しい空気を取り入れて暖めたり、冷やしたりしているわけではありません。冷却フィンの内部を、空気が循環しているだけなのです。台所のように、ただでさえカビの発生しやすい場所にエアコンを取り付けると、調理時に生じる湿気を含んだ空気や油煙が、エアコン内部に取り込まれ、フィルターやフィンなどに固着します。そして、その水分や養分を餌にカビが発生するのです。しかも、調理中は換気扇を回すため、台所のエアコンは全開運転になりやすく、フィルターやフィンに付く汚れ、湿気も自然と多くなります。調理時に発生する熱が室温を高くすることも手伝い、一般の居室のエアコンに比べ、台所のエアコンはよりカビや雑菌が繁殖しやすい状況をつくってしまうのです。 カビには、アオカビやクロカビ、ケカビなど、さまざまな種類がありますが、エアコンには、「トリコスポロン・クタネウム」というカビが存在しやすいのです。このトリコスポロン・クタネウムというカビが曲者で、ある病気を引き起こす原因と考えられています。その病気とは、夏型過敏性肺臓炎です。 夏型過敏性肺臓炎とは、夏季に発症するアレルギー性肺臓炎のことで、トリコスポロン・クタネウムの胞子が肺に侵入することで発症するといわれています。トリコスポロンの胞子は、5ミクロンと他のカビの胞子より小さいため、人間の肺の中にまで侵入しやすいのです。夏季に発症するのは、6月から8月の夏の時期に、胞子が空気中を飛散しやすくなるためで、なんと冬の時期の5,6倍もの胞子が浮遊するといわれます。一般的には、発熱、咳、呼吸困難を三大主症状とし、全身倦怠感、頭痛、体重減少などもみられ、家 にいることの多い主婦がかかりやすいといわれています。症状が風邪に似ているため、受診しても夏風邪と診断されている場合が多く、潜在的な患者が非常に多いと考えられています。また、夏風邪と誤認して放っておくと、慢性型の夏型過敏性肺臓炎となり、肺が萎縮して命に係わる場合もあるのです。1990年以降に問題視され始めた病気だけに、まだまだあらゆる点での解明はなされていないそうです。
誤解のないようにお話をしておきますが、トリコスポロン・クタネウムは、台所に取り付けたエアコンだけに発生するわけではありません。汚れたエアコン内であれば、どんな場所でも発生する可能性があります。また、リビングやダイニングと台所が一体になった設計では、リビングのエアコンも、台所の油煙や湿気の影響を少なからず受け、トリコスポロンが住みつきやすくなっているはずです。トリコスポロンが好むのはエアコンだけではなく、腐り始めた床材や柱などにも住みつくといわれています。 ![]() 時代とともに、生活環境や家の構造、住宅設備の性能も様変わりしてきました。家相上の凶事も、科学の力や現代の最新設備をもって対処することができるようになった反面、このような新たな災いを生んでしまう場合もあるのです。南西などの暑い場所に台所をつくる場合は、テラスやよしずなどを利用して西日を防いだり、できる限り風通しをよくして室温の上昇を抑えるなど、昔ながらの生活の知恵が大切ともいえるでしょう。そして、もうひとつ大切なのが「掃除」です。掃除をこまめにするという生活習慣でも、家相は対策できるのです。 科学がどんなに進歩しても、私たちの健康を蝕む者たちは存在しています。ぜひ、エアコンのお掃除をしてください。特に台所近くのエアコンは念入りに…。 *夏型過敏性肺臓炎 夏季にだけ発生するアレルギー性肺臓炎。一般的には発熱、咳、呼吸困難を三大主症状として全身倦怠感、頭痛感、体重減少がみられる。原因としてカビの一種であるトリコスポロン・クタネウムが考えられている。患者数は増加傾向にありWHO(世界保健機構)も警告をだしている。家屋内でカビに触れる機会の多い主婦がかかりやすく、西日本が中心で北限は秋田県までとされている。エアコン内部や腐った木部に存在する場合が多い。 [朝日現代用語 知恵蔵より] *かび【黴】 動植物・衣類・食物などに寄生する小さな下等生物。胞子で増える。 国語大辞典(新装版)小学館 1988 |
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