大吉の住まいは担当者の質で決まる

先回までの「家相を勘違いして取り入れるな!!」 「家作りに家相盤、風水羅盤を利用するべからず」 の2つの記事をご覧になり、単純に鬼門から水回りを外すだけの住まいが大吉の住まいではないことを、みなさんもおわかりいただけたと思います。では、家相では何を大吉と考えればよいのでしょうか。

私が考える大吉の住まいとは、光と風を操り、住み心地よく健康的に暮らせる住まい。犯罪から身を守り、家庭内事故の起きない安全な住まい。家族が仲良く暮らせ、癒される住まいです。そして、このような住まいづくりを提案してくれるプロこそが、現代の家相見(家相を判断する人間、住まいの吉凶をアドバイスできる人間)であるとも考えています。今回は、大吉の住まいを提案できるプロとはどんな人か、お話し致しましょう。



まず結論から言えば、自ら家づくりの経験がある人、そして生活体験も豊富な人です。

私のところに家相鑑定にみえる方は、家を建てるにあたり、鬼門などの家相が気になって、設計に行きづまった方がほとんどです。そして、そんな方の多くが、営業担当者や設計担当者の提案力不足、知識不足を口に出されます。

もし担当者に生活提案力や実践的な知識が十分にあれば、鬼門や水回りが気になると施主に言われても、「わかりました。水回りを鬼門から外しましょう。しかしそうすると、ずいぶんと住みにくい住まいになってしまいますよ」と、逆説的な生活提案もできるはずです。そうすれば、「家相を勘違いして取り入れるな!!」でご紹介したような、迷信にとらわれた間取り図面はできないはずなのです。

自らの家づくりの経験や生活体験が豊富であれば、住まいの水先案内人として、施主をわざわざ暗闇に導くことはないでしょう。大吉の住まいをつくるためには、そんな担当者を選ぶことが近道でもあるのです。敷地や周辺環境、家族構成やライフスタイルなど、施主それぞれのさまざまな事情や条件を考慮し、それを図面に描いていくためには、家づくりや家庭生活、子育てなどの経験がとても大事なのです。

具体的に事例をお話ししていきましょう。

下記のCGをご覧ください。若手の建築家が、やんちゃざかりの子供のいる施主に対して、階段の手すりに細い鉄の棒を利用して設計したケースです。幼く、しかもやんちゃざかりの子供もこの階段を使用するわけですから、当然施主は不信感をもたれました。階段はそれでなくても家庭内事故の起きやすい場所。万が一転倒でもしたら、手すりの棒状部分で大けがをしかねません。この場合は当然、デザイン性より安全性を重視するべき家族状況ですから、壁付けの手すりにすべきでしょう。

私が鑑定でこのような階段構造を拝見すればどんな家族状況であっても大凶として判断しています。なぜなら、もしお子さんがおみえにならないご家族の住まいであっても、友人や親戚のお子さんがおみえになられたときに転落事故などが起きかねない危険な住まいになるからです。



また下記は、二世帯住宅の間取り図面です。親世帯に便利なようにと、トイレや浴室もすべて隣接させていますが、マンションと違い、戸建て住宅の壁は音もかなり聞こえてきます。階段を昇り降りする音や、入浴する際の音も意外に響くものです。就寝時間が早い親世帯にとっては、睡眠の妨げになるおそれもありますし、子世帯も気兼ねしながら生活しなければなりませんね。それでは、便利であっても快適な二世帯住宅とはいえません。この場合は、壁の防音性を高めること、押入れや廊下などを緩衝部分として挟むなどの提案をしてもらいたいものですね。



家づくりは、決めなければならないことが実に多岐にわたります。実践経験のある人の意見に導かれていくか、そうでないかで、住まいの方向性は大きく変わってしまいます。住宅設備にしても然り、やはり実際に使った経験のある人の言葉を聴いてほしいのです。

以前、食器洗い機を真っ向から否定されている住宅評論家がいました。20万円以上ものお金を出しても汚れを落とす力もなく、食器を洗う姿を子供に見せないのは教育上も好ましくないという理由からでしたが、最近は5万円も出せば満足できる洗浄能力をもつ機種が豊富にありますし、食器洗いの時間が節約できれば、そのぶん子育てにも余裕を持てるのではないかと私は思います。

その評論家は食器洗い機を使ったことがないそうですが、実際に使ってみなければ汚れの落ち具合もわかりません。また、仕事を持つ主婦も多い昨今、食器を洗うという家事労働の負担や子育ての大変さを思えば、もっと違った評論もできたことでしょう。現代の設備相場も知らず利用経験もないまま、物の良し悪しを語るべきでないと私は考えます。否定するのであれば、きちんと利用して否定していくべきです。そのような無責任な提言で多くの方の住まいのありようが変わっていくからです。



しかし、自身の家づくりの経験や、結婚や子育ての経験のある担当者で家を建てたいと願っても、それが遠のいているのが現状でもあるのです。プロを対象にした講演も全国で行っていますが、晩婚化は住宅業界も同じようですし、日本の持ち家比率が全国平均60%(首都圏では40%前後)というのも頷ける話です。

そんな中、住まい提案に自信を持たせるために、社員に家を持つことを奨励する住宅企業もあります。また、ある大手のハウスメーカーは、社員に子供が生まれたら100万円の出産祝い金と育児のための休暇を最大140日間確保。介護やボランティアの活動にも、休暇をどんどん利用できるようにしたのです。

持ち家を促進させ、子育てをしながら住宅業界で働くことが、必ずや施主への住まい提案に反映されていくことでしょう。自らも施主となった営業担当者や設計者は、家づくりへの希望や不安、ローンを抱える気持ちを共有してくれます。そして、ユーザー視線で、安全で快適に暮らすためのさまざまな提案をしてくれるでしょう。介護やボランティア活動の経験を持つ担当者なら、真の意味での優しい家づくりもできることでしょう。

実践的な経験や生活体験を持った、提案力のある担当者にめぐり合うこと。それこそが、先人の知恵であり、現代の大吉の住まいをつくる一番の秘訣であるでしょう。


せんじん
【先人】(1)昔の人。前人。「―の教え」
    (2)亡父。また、祖先。
    三省堂提供「大辞林 第二版」より

--------------------------------------------------

このサイトをご利用いただく際の、著作権に関するお願いがございます。
(C)copyright 2005 家相研究家 小池康壽