竈が二つある家は凶 |
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「竈(かまど)が二つある家」、今でいえば台所が二箇所ある家のことです。昨今は二世帯住宅など、台所が二箇所ある家もめずらしくありませんが、家相学では昔から、ひとつの家に台所が二つあるのは“極めて凶”とされていました。「本宅と座敷と両所に、竈を作ることを忌む災害あるべし」。これは、私が持っている大正時代の家相書、「家相極秘伝」に記されている一節で、「主たる棟と離れた棟、両方の棟に竈を設けると災いが起きる」と言っているものです。![]() 竈が二つある、なしにかかわらず、この家相書には竈(台所)に関する記述がダントツに多いのです。「竈は人の命を養う食物を煮炊きするところ、特に貴重に扱うべし。これ人家の根源なれば、新築の家は然るべきところを選 び、まず最初にこれをつくることが緊要なり」という言葉があるように、昔は殊(こと)の外、竈の場所やつくり方にこだわっていたのでしょう。“然るべきところ”を二箇所も探すのは大変ですし、“人家の根源”というからには、ひとつで十分ともいえます。また昔は、竈は神様やご先祖様をイメージするものでもあったようで、この家相書には、「二所帯で竈が二つある家は、先祖を二つ祭るようなもの、祟りあって家が衰えることもある」とも記されています。竈が二つあることを“極めて凶”とした理由には、このような背景もあったのでしょう。しかしこれは、家相の“うそ”か“ホント”かといえば“うそ”の部分です。竈が二つあることを凶とするもうひとつの理由こそ、現代でも理にかなう“ホント”の部分なのです そのもうひとつの理由とは「火災」です。昔は天災を除き、庶民にとって災いの最たるものといえば火災でした。慶長6年(1601年)11月2日には、日本橋から火が出て、江戸の町を一夜で灰にするほどの大火が相次いで発生しました。火災は家や財産はもとより、人の命まで奪ってしまう恐ろしい災いです。その発生源となる竈を、一軒の家の中でむやみに増やすことは、当然のごとく凶事だったのです。昔は現代のようにガスも電気もなく、薪を燃やして熱源にしていましたから、火災の危険性も非常に高かったのです。ましてや家の構造も、燃えやすい材料ばかりです。火の粉が屋根に飛ぶだけでも、十分大火の原因となってしまうおそれがあったのです。 火災の心配が増えるという点では、台所が二箇所あることは、現代においても凶といえます。毎年の火災の発生状況をまとめた消防庁のデータによれば、建物火災の原因のトップは、毎年「台所のコンロ」が占めているからです。火災の原因となりやすいものは、少ないに越したことはありませんからね。しかし、現代では、私は二箇所の竈をつくるのもよいこと、場合によっては「吉」だとも考えています。 ![]() 私のもとへ寄せられる鑑定の中にも、二世帯住宅で母屋と離れの両方に台所がある場合や、1階と2階それぞれの世帯ごとに台所がある場合が増えています。ひと昔前は、「二世帯でも台所はひとつ」であることが多かったのですが、設計上窮屈でも、建築費が多めにかかっても、親世帯・子世帯それぞれの台所を望まれるケースが、最近は増えているようです。 昔から二世帯同居といえば、とかく嫁・姑問題が取り沙汰されます。先日も、嫁・姑問題が殺人にまで発展してしまった悲劇的な事件が報道されましたが、ここまで思いつめたケースでなくとも、嫁と姑のトラブルは世間には少なくありません。 特に食生活においては、年代の違い、育った環境の違いなどから、互いにストレスを抱えてしまうことが多いようです。「竈は人の命を養う食物を煮炊きするところ」ですから、ストレスで健康を 害してしまうよりは、台所を分けて、お姑さんもお嫁さんもリラックスして炊事をするほうがよいといえるでしょう。お祝い事や家族の誕生日には一緒に食事を作ったり、時々それぞれの“竈”へお呼ばれしたりできれば理想的ですね。ただし、火災予防のための安全対策は忘れてはいけません。たとえば、直火を使わないクッキングヒーター(IHヒーターやラジエントヒーター)を採用したり、火災報知機や消火器など、警報装置と消化装置はそれぞれの台所に必ず設置するようにしましょう。火災による悲しいニュースは、日々後を絶ちません。できれば、家の中のどこにいても、火災の発生をいち早く確認でき、通報や初期消火ができるように対策しておくこと、加えて、いざという時の避難路を確保しておくことが、台所が二箇所ある場合はより重要なのです。 日本ではまだまだ、火災予防に対する意識が低いといわれ、火災報知器や消火器の設置も少ないのが現状のようです。アメリカなどでは自主防火の意識が高く、火災報知器の設置率も非常に高いのです。大統領自らが、火災報知器の設置を奨励したという有名な話もあるほどですが、日本ももっと多くの人が、火災予防に対して関心を持つべきだと思うのです。きちんとした安全対策さえ行えば、台所を二箇所つくることは、現代では気苦労もなく、便利な生活環境が生まれてくるといえるでしょう。小池康壽流の現代家相学では、「本宅と座敷の両所に、安全対策をした上で竈作ることを吉とす。これいたって親子の間うまくいく相なり」とでもいっておきましょう。 |
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