艮隅に浴屋あること至って凶なり

艮(うしとら)隅に浴屋あること至って凶なり・坤(ひつじさる)隅に浴屋あるも悪し」 これは、「家相大全」という私が所有する家相の古書に書かれている先人の言葉です。

浴屋とはお風呂のこと、艮は北東、坤は南西の方角を指し、「北東にお風呂があるのはこの上なく凶、南西にあるのもよくない」という意味です。昔の人たちはこれらの家相書を読んで、お風呂の場所の吉凶を検討していました。現代でも、家づくりの際に家相学上、お風呂の場所を気にする方は多いものです。鬼門や裏鬼門にお風呂があることで、家族に災いが起こる、一家の主に災いが起こるなど、そういった迷信の言葉にお風呂の場所を迷われる方も多いのです。



昔の家は、お風呂やトイレが母屋の外に別棟としてあるケースが多くありました。不浄のものとして、構造的なこと(設備や排水)も考慮して、母屋から離してつくったのだと思われますが、「家相大全」でも、浴屋は「宅外之備之編(家の外につくるもの)」と定義されています。

家の外の北東にお風呂があれば、冬は入浴の度に冷たい北風にさらされ、決して健康的によい場所とはいえません。また日当たりが悪い場所ゆえに湿気がしっかり乾かず、土台や柱が腐りやすい建物にとって過酷な状況でもあったでしょう。南西の場合は風上になることも多いため、お風呂を沸かす火で火事を起しやすく、いったん火が出ると風の勢いで家を全焼しやすかったこと、西日で夏は暑い場所になること、暖かさから腐朽菌が繁殖しやすいことなどの理由が、鬼門の位置のお風呂は災いを呼ぶ場所として科学的な面でも嫌われたのでしょう。

家の中につくられ、電気やガスで沸かせるようになった現代のお風呂。北風の冷たさで極端に建物や健康が脅かされることや、直火の火災で命や財産を失う心配、ユニットバスの普及により浴室の傷みなどの心配もずいぶん少なくなりました。


しかし、家相研究家の私は、現代でも浴室は大凶の場所と考えています。しかもどこにあっても大凶とお話ししています。実は現代でも、年間1万人もの方がお風呂で亡くなっているといわれているからです。海やプールで亡くなる方が年間1500人前後であるのに対し、交通事故で亡くなる方の数に匹敵するほど、お風呂では多くの方が亡くなっているのです。しかもこの数字は家庭内事故の特性上、正確な数字ではないとも言われ、実際はもっともっと多いという指摘や、今後もどんどん増えていく可能性も示唆されています。安全で快適になったはずのお風呂なのに、どうして多くの方が亡くなってしまうのでしょうか。

それは家の断熱性能がよくなったからなのです。昔の家は断熱効果が低く、窓も木製で隙間風が入るため、暖房をかけてもそれなりの温度にしか上がりませんでした。しかし現代では断熱性能が格段に上がり、冬でもリビングや居室を28度近い夏場並みの室温にしている家はめずらしくありません。そして、暖房設備の高性能化もあげられます。

しかし欧米諸国に比べ、お風呂に暖房の設備を持つ家庭は日本ではまだまだ少なく、暖かく快適な居室空間と暖房設備のない寒いお風呂との温度差がより大きくなっているのです。実はこの温度差がくせものなのです。暖かい部屋から寒いお風呂に移動することで血圧が急上昇し、お風呂の湯に浸かることで今度は血圧が下がるという、急激な血圧変動が短時間に起きてしまうのです。その結果、ジェット戦闘機のパイロットが経験するブラックアウト現象に近い失神状態に陥り、溺死事故を招いてしまう恐れがあるのです。特に高齢者の血圧変動は、30ミリメートル水銀柱前後といわれ大きなものとなります。よく、浴室で入浴中に眠くなると感じる方が多いのですが、実は眠いのではなく、血圧変動により気絶に近い状態になっているといわれています。いつも講演会でも、この話をして挙手をしていただくのですが、多くの方が、入浴中に眠くなると手を上げられます。



ついさっきまで元気だった家族がお風呂で急に亡くなることは、本人の運勢のみならず、家族の運勢をも大きく変えてしまいます。現代では「何処にあってもお風呂は大凶」と考え、他の部屋との温度差をつくらないような対策や生活習慣が大切なのです。

小池康壽の現代家相学では、「現代では、どこの方位にお風呂があっても凶と考えるべし。温度差をつくる住まい方が大凶なり。」とお伝えしておきましょう。次回は、あなたの家のお風呂を「大吉のお風呂」に変化させる秘訣をご紹介しましょう。


前回、お風呂での死亡事故(血圧変動による溺死事故)が非常に多いことをお話しました。お風呂は何処の方位にあっても、リビングなどの居室空間との温度差が大きい環境であれば大凶なのです。 そこで、今回は現代家相学上、安全で快適なお風呂のつくり方についてお話しましょう。



安全で快適なお風呂をつくるには、まず居室空間との温度差を少なくすることです。それには洗面所やお風呂の暖房が一番の対策になります。先回もお話しましたが、昔は別棟として家の外にお風呂を作っているケースが多くありました。日当たりが悪く冬寒い北側や北東にお風呂をつくることは、健康面で、またお風呂の耐久性の面で嫌われましたが、現代でも北側や北東は家の中でも寒い場所です。ここにお風呂があれば、リビングなどとの温度差はより大きくなるでしょう。また北や北東に限らずどの場所にお風呂があっても、寒いからといってリビングなどを必要以上に暖め過ぎれば温度差の大きい環境となるのでしょう。

家を新築する際は洗面室の床暖房や洗面台の足元に温風ヒーター、オイルヒーターなどの暖房器具、そして、お風呂に浴室暖房を取り付けることで、急激な血圧変動による溺死事故を防ぐ効果が大きいでしょう。


建物の構造でも、窓のサイズを小さめにしたり、高断熱複層ガラスを採用し熱損失を少なくしたり、断熱構造の浴室ユニットバスを採用し極端に寒い浴室にならないようにすることも大切なこと。日本は欧米諸国に比べ、お風呂や洗面所を暖房するという意識が低く、浴室や洗面暖房の設置率が低いことも事故が起きる理由です。

「お風呂での死亡事故が一番多いのは、どの県でしょうか?」講演でいつもこの質問をすると、多くの方が「北海道!」と答えられます。意外に思われるでしょうが、お風呂での死亡事故件数のトップは北海道ではありません。北海道は寒さに対する備えや住まい方の工夫が徹底しているので、家の中全体が暖かく、部屋どうしの温度差も作らないように生活されています。例えば、給湯器などのボイラー設備や電気温水器を洗面所内に設置して、その余熱で洗面所やお風呂を暖かくするなどの工夫もなされています。こういった住み方の工夫こそが先人の知恵ともいえるでしょう。

とにかくお風呂や洗面を暖かくすること、部屋間の温度差を作らないこと。これがお風呂での事故防止、健康運の向上につながります。次にインテリアカラーでの対策です。人間は視覚からも温度を感じます。お風呂の壁や床、浴槽の色が暖色系か寒色系か、蛍光灯か白熱灯かで、お風呂に入った瞬間の体感温度はずいぶん違うものです。寒い北側や北東にお風呂をつくる場合やリフォームをする場合は、暖かく感じる暖色系の内装や浴槽を選ばれることをお勧めします。現在お使いのお風呂でも大丈夫、小物や入浴剤でも手軽に対策できます。



例えばCGのようなブルー系の浴槽で、しかも冬でも爽やかな水色の入浴剤を入れていると色から寒さを感じ、より熱いお湯にしようと考えてしまいます。お風呂での死亡事故は42℃以上の熱いお湯に入浴している時に起きやすいといわれています。熱いお湯に入浴することは体に大きな負担を与え、命を縮める非常に危険なことなのです。暖色系のトリムを貼ったり、電球色の照明を利用したり、暖色系の入浴剤を入れることでぬるいお湯でも温かく感じ、健康的かつ安全に入浴できるようにもなるでしょう。

お風呂や洗面室に暖房設備を取り入れて、建物の構造的な対策を施す、暖色系のインテリアや電球色の照明を利用すること。これで、大吉の浴室ができあがるというわけです。

小池康壽の家相学では、「浴室、洗面室はきちんと暖房することが大吉なり。インテリアや雰囲気で暖かさ感じるテクニックも利用して吉の浴室となり」と申しておきましょう。

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