「3段回り」は大凶なり

家相のアドバイスを行う際、プランに込められた施主や設計者の方の思い入れを、できる限り尊重したいという気持ちがあります。しかし、そんな小池流の家相鑑定でも、これだけは変更が必要、また、何とか変更してほしいと願う場合があります。それは何かというと、階段の形状なのです。

以前の記事、「階段は地獄の一丁目」でもお話しましたが、階段は非常に危険な場所なのです。平成13年の厚生労働省の人口動態統計でも、約6000人前後の方が、転倒や転落などの事故が原因で亡くなっています。その内、家庭内の階段での転倒事故は、800人から1000人前後といわれていますが、家庭内事故はその正確な数字が把握できないといわれており、国民消費生活センターの調査などでは、後遺障害を残すような事故を含めると、その数は数万件に上るともいわれています。

そんな危険な場所である階段で、私が必ず変更をおすすめする階段形状とは(もちろん、確認申請前で設計変更が可能な場合ですが)、「3段回り」の階段です。この3段回りの階段とは、階段の最上部に3段以上の回り部分がある階段です。

実はこのような形状の階段は、転倒事故を起こしやすいのです。その原因となることが多いのが、階段最上部の回り部分。階下に降りる際、踏面(ふみづら=階段の足を載せる板の上面)の広い外側部分を歩けばよいのですが、内側部分を歩くと踏面に足の裏全体が載らず、不安定な状態で降りることになり、足を滑らしたり、踏み外したりして転倒しやすくなるのです。

           

もちろん、毎日十分注意して昇り降りすればよいのですが、私たち人間は、どうも“近回り”をしてしまうクセがあるようなのです。また、急いで駆け降りたり、荷物を持っていたりすることも少なくありません。第一、家の中ですから、危険だという認識もなかなか持てないのが現実です。

ですから、この3段回りの階段が設計されているのを見ると、可能な限り、私は階段形状の変更をおすすめしているのです。3段回りにこだわっているのは私だけではありません。一部の住宅メーカーでは、この階段形状の危険性を重視し、使用することを禁止しているところもあります。

しかし、3段回りの階段は、実にたくさんの家づくりに使われているのです。私のところに届く鑑定図面でも、かなりの確率で3段回りの階段が使用されています(時には“4段回り”も…)。なぜ、このような「回り階段」が多く使われるかというと、設計上、好都合な面もあるからなのです。

この回り階段を使用すると、2階のホールの床面積が比較的少なくて済むのです。また、階段自体の床面積も、U型やL型の階段に比べると少なくて済みます。敷地や施工費などの都合で床面積を抑えたいときに、この階段形状を使用する業者さんも多いようです。特に建売住宅などでは、この3段回りの階段が使われているのをよく目にします。しかし、家は“建てたら終わり”ではありません。長く生活していく場所なのです。床面積が少なく済んでも、家族の命にかかわっては何の得でもありませんからね。ですから私は、床面積を少々多めに取ってしまっても、安全性の高いU型、L型の階段を使用してほしいと思うのです。

               

しかし、3段回りの階段が危険だといっても、設計変更ができる場合だけではありません。そこで、3段回りの階段の安全対策について、その方法をお教えいたしましょう。

まずは、手すりの取り付けです。これは必ず行っていただきたい対策です。ただし、手すりを取り付ける際には、必ず外側の広い踏面側に取り付けるようにしてください。手すりをつかんで昇り降りすれば、踏面の広いほうを歩くことを意識付けられるからです。手すりの取り付けは、オプション工事であることが多いのですが、手すりの長さが短く済むからといって、内側に取り付けないようにしてくださいね。また、照明の数を増やしたり、足元が効果的に照らされるよう、「足元ライト」などを取り付けることもおすすめです。

そして、何より大切なのは、階段は危険な場所であるということをよく認識することです。U型階段であれ、L型階段であれ、転倒事故が起きないわけではありません。日頃から十分注意して昇り降りするように、ご家族みなさんで話し合っていただきたいのです。

ある程度決まった図面を変更することは、容易なことではありません。しかし、今後も私は、危険な階段形状には変更をアドバイスしていきたいと考えています。家相研究家として、一人でも多くの方が、幸せに暮らせる家づくりができることを願いつつ。

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