2階の水回りは大凶

突然ですが、無造作に4台の便器が並んだこの光景、何だと思われます?実はコレ、わが家の玄関先なのです。先ごろ、わが家のすべてのトイレが水漏れを起こし、便器をそっくり取り替えることになったわけですが、そのときの“記念”の一枚がこの写真。日頃から鑑定などで、「2階に水周りを作ることは、基本的には凶(注意する)と考えてください。」とお話している私ですが、今回は、体験談をお話しましょう。

もっとも、2階のトイレなんて、今や“常識”のように作られていますよね。お風呂やキッチンだって、2階や3階にも当たり前のように作られている時代です。住宅の構造や設備器機の性能も向上し、建築技術も格段に進歩した昨今のこと、今さら、「2階に水周りを作ることは凶」などというのも、おかしな話と思われるかもしれません。しかし私は、必要以上に多くの水周りを2階に設計する場合には、十分注意してほしいと鑑定でもアドバイスしています。また、私が監修する「3Dマイホームデザイナー」の間取り診断でも、玄関やキッチンの階上にトイレを作るケースなどには、注意のコメントが出るようにしてあるのです。

なぜなら、2階の水周りからの「水漏れ」は、意外に多く起きているものだからです。こんなことをお話すると、おそらく多くの建築関係者の方は、「昔ならいざ知らず、今の住宅ではまず水漏れは起きません!」とか、「ウチは水漏れしないように工事しています!」といわれることでしょう。しかし、「絶対に漏れない」という保証はないのです。住宅営業マンとして、また家相研究家としての多くの家作りの経験の中で、2階の水周りのトラブルに、私は幾度となく遭遇しているのです。そして、今回はわが家のトイレで…。

厄介なことに、わが家のその水漏れは、静かにじわじわと起こっていました。いつもお話していますが、わが家のトイレ掃除は徹底しています。先日、いつものように掃除をしていると、2階のトイレの床と便器の接合部付近に、数箇所の黒ずんだ汚れを妻が見つけたのです。少し前まではなかった汚れだし、雑巾で拭いても落ちる気配なし。「もしや?」と思って、便器と床の間にペーパーを挿し入れてみると、みるみる水浸しに…。それは「汚れ」ではなく、水漏れによってできた「染み」だったのです。

便器メーカーのメンテナンスの方の話によると、わが家のトイレは、便器とタンク部分の接合部のパッキンが切れてしまったことによる水漏れとのこと。トイレの水を流すたびにタンクと便器の接合部から、じわじわと水が漏れ出ていたわけです。



新築時に設置してからまだ3年ですが、“この手(ゴムのパッキンや部品関係)”の故障は、使用年数の短い場合でも起きてしまうのだとか。原因としては、まず、パッキンや部品そのものの不良の場合。そして、正常な位置に部品がはめられていなかったり、無理な取り付け方をして部品を傷めてしまったりする工事上の問題があげられるそうです。ちなみにわが家の場合は、パッキンの初期不良が原因でした。タンクからのきれいな水だから良かったものの、これが汚水管の漏れとなると大変なことです。それに、今回のわが家のケースのように、タンクに溜まっている水はじわじわと静かに漏れてくること、また、水が染み出てくるのが便器の裏側などの目に付きにくい場所であることから、気付くのに時間がかかることが多いのです。床に染みができ、それが水漏れによるものとわかる頃には、かなりの量の水が漏れていることも少なくありません。階下の天井に大きな染みができ、やっと水漏れに気づくケースも、実際によくある話なのです。



私が、2階に水周りを作ることを凶と考えているのも、このような水漏れ事故が起きる可能性が、決して少なくないからです。1階でならまだしも、2階で水漏れが起きた場合は、その影響が階下の部屋にまで及んでしまうおそれがあります。また、配管などからの漏れの場合は、修理に思わぬ手間や時間がかかることもあります。ですから、2階に水周りを作る際には、これらのことも想定して慎重に臨んでいただきたいのです。

確かに、現代の水周り設備は性能も良く、建築技術も進歩しています。2階に水周りを作ったからといって、必ず水漏れが起きるわけではありません。2階にもトイレや洗面所があれば便利ですし、敷地や世帯構成などの条件から、2階に水周りを作らなければならないケースもあるでしょう。しかし、水漏れの可能性を考慮して作った場合と、そうでない場合とでは、万一の際に吉凶に大きく差が出てしまうことでしょう。もちろん、「水漏れなんか起きるわけない」と過信した建築家で無理な設計をしたり、必要以上に2階に水周りを作ったりすることは「大凶」と、私は考えます。

誤解のないようお話しておきたいのですが、私は「2階に水周りを作るな」といっているわけではありません。(わが家も2階にトイレを作っていますからね。)ただ、2階に水周りを作る際は、万一の場合のことも考えて作っていただきたいのです。

そこで、2階に水周りを作る場合の対策法を、以下にお話しておきましょう。まず、万一水漏れしたときのメンテナンスがしやすいように、トイレの真下などの天井には、点検口を取り付けておきましょう。そうすれば、水漏れの程度の確認や修理が容易にできますからね。わが家の場合も、2階のトイレの真下にある洗面所の天井に、点検口を作っておきました。水漏れが発覚してすぐに、この点検口から“漏れ具合”を確認したところ、幸いにも断熱材や構造部への影響はなくひと安心というように。

次に、定期的に点検口内を確認し、便器の周辺もよくチェックしておきましょう。トイレのマットなどで隠れている部分も要チェックです。また、汚水管からの漏れも意外に多いものですから、2階のトイレや洗面所の真下には、キッチンなど食べ物を扱う場所を作らないようにしましょう。

キッチンやお風呂が2階にある場合は、排水口の掃除やメンテナンスも大切です。ゴミや髪の毛などの詰まりが、水漏れにつながることもあるからです。賃貸のマンションでは、入居時に賠償保険をかけさせられることがありますが、これは、このような水漏れの事故に対応するためのものでもあるのです。そしてもちろん、むやみに2階に水周りをもっていかないことも、対策法のひとつです。



さて、わが家の2階のトイレはというと、床を張り替え、冒頭の写真にありましたように、修理ついでに1・2階とも最新の節水型の便器に取り替えることにしました。取り替え作業が終わり、便器メーカーのメンテナンスの方が帰られたあと、もう一度念のために便器周りを確認すると、今度は水道管と便器の接続部分から水漏れが…。そしてボルトの締め忘れも…。先ほどのメンテナンスの方に至急戻っていただき、無事修理は完了しました。まさに「2階に水周りを作るは凶なり」の出来事です。講演会では、どこの便器メーカーの出来事か、すべてしゃべっていますけど。(笑)


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